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【ドクター和のニッポン臨終図巻】孤独の悲劇、川越美和さん 多剤投与の果てにセルフ・ネグレクトか…電話1本で救える命ある (1/2ページ)

★(10)川越美和さん

 ひとごととは思えない! かつての人気アイドル孤独死のニュースに、私の周囲にいる妙齢の女性たちは異口同音に不安気な顔をしました。

 正統派美少女アイドルとして、1990年代に活躍した川越美和さんが、9年前に孤独死をしていたと週刊誌が報道をしたのです。享年35。

 川越さんは、亡くなる数年前から、精神的バランスを壊し、酒浸りの生活を送っていたとも報道されています。知人の勧めにより、一度はアルコール依存症治療も行っていたそうですが、お酒をやめることができませんでした。重ねて、抗うつ薬も飲んでいたとのこと。

 亡くなる1年前には、コンビニのポリ袋ほどの大きさ2袋ほどの薬を手にメンタルクリニックから出てきた彼女が目撃されています。10種類以上も薬を飲んでいたそうです。手を差し伸べようとした人は何人もいたようですが、酒と薬の依存から抜け出すことはできなかった結果、東京都内のアパートで変わり果てた姿で発見されました。死因はあきらかにされていませんが、状況から察すると、「緩やかな自殺」もしくは「セルフ・ネグレクト(自己放任)」と言ってもいいのかもしれません。

 こうした報道を耳にすると、今の精神科医療の在り方に疑問を持たざるを得ません。多剤投与の先にセルフ・ネグレクト、自殺という悲劇が起きても、薬を処方した医師はなんら責任を負わないからです。外来に来なくなったら、それで終わり…。同じ医療者として腹立たしい。

 私のクリニックにも年に何度か警察から電話が入り、孤独死の現場に立ち会います。時には、ペットの犬や猫も一緒に死んでいることもあり、いまだ慣れることはありません。虐待事件でも同じことが言えますが、ドア1枚で隔たれた向こうで起きていることに、われわれはあまりにも無関心ではないでしょうか。

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