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理想の酒づくり、探し当てた運命の水 売れるきっかけは「水が違います!」 (1/2ページ)

★名水で醸す奥信濃の銘酒「水尾」(下)

 理想の酒をつくるためには、理想の水を探し出さなければならないと気づいた田中屋酒造店(長野県飯山市)の田中隆太社長は、おいしいと評判の水を汲みに行っては、分析を重ねた。

 すると、蔵から15キロほど離れた野沢温泉村の水尾山の麓に、南アルプスの天然水よりやわらかい軟水が湧き出ていることがわかった。これが新たな銘柄誕生のきっかけとなる水であった。

 加工米でつくる従来の銘柄「養老」に加え、酒造好適米で少量の純米と吟醸をつくり、「水尾(みずお)」と名付けた。それを地元で一番の消費地である、野沢温泉で売り始めた。

 初めは全く売れなかったが、あるとき「野沢の水尾山の水を使っています」というポップを作ったら、売り上げが2倍になった。これはイケるかもしれない。手応えを感じた田中社長は、さっそく「水が違います!」とプリンターで印刷したポップを手作りしてボトルの首に飾ったところ、だんだん売れ始め、水尾の販売量が養老を上回る頃には、少しずつ設備投資もできるようになった。

 水尾の蔵は、明治時代の建物をそのまま使っていて、決して大きくない。10本しかない仕込みタンクは、1本1500キロの小さな仕込みだ。だからこそ、温度管理しやすく、丁寧な仕込みができる。

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