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【ドクター和のニッポン臨終図巻】痛みに耐えて演技…舞台で絶命した中嶋しゅうさん (1/2ページ)

★(14)中嶋しゅうさん

 降伏か? 本土決戦か? 1945年8月14日から翌日の玉音放送までの間、天皇陛下と日本政府で何が起きていたのかを描いた『日本のいちばん長い日』。

 原田眞人監督の映画版に出てきた東條英機があまりにもそっくりで、その鬼気迫る演技に、この俳優は一体、誰なんだと気になり、初めて中嶋しゅうさんを知りました。そして『影武者』や『乱』など、黒澤映画の常連だったことも。

 テレビを見ているだけではなかなか知る機会を得ない名優が、実はたくさんいますよね。中嶋さんもその一人でしょう。

 中嶋さんは7月6日、東京芸術劇場シアターウエストで初日を迎えた舞台『アザー・デザート・シティーズ』の公演開始から70分経過した午後8時10分ごろ、座った状態から立ち上がって演技をする際、バランスを崩して舞台から1メートル下の客席に転落しました。直後、いびきをかいていたそうです。救急車で病院へ搬送されましたが、午後10時ごろ、死亡が確認されました。69歳でした。

 死因は急性大動脈解離。つまり、うっかり転倒したのではなく、突然致命的事態が起こり意識を失った結果の転落だったと思われます。

 大動脈とは、体内にある最大の動脈。心臓の左心室から出て、全身に血液を送り出す動脈の本幹、いわば主幹道路のような役割です。バウムクーヘンのように3層構造をしています。

 大動脈解離とは、この内側の壁に亀裂が入り、壁が剥がれることによって血液の通りを妨げたり、破裂したりしてしまうことです。土砂崩れが起きて、主幹道路が閉鎖されたイメージです。これにより、脳梗塞や消化管壊死など、致命的な合併症を急激に引き起こすのです。高血圧の人は圧倒的に解離のリスクが高いことがわかっています。

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