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【飯田達哉 酔いどれ師匠の酒場探訪】大人の街で多国籍の味を楽しむ 「おく谷」(東京・荒木町) (1/2ページ)

★「おく谷」(東京・荒木町)

 三味の音が聴こえてきそうな石畳の細い路地、所在なげに寝転ぶ猫…。東京・四谷三丁目の北側に位置する荒木町は、かつて花街として栄えた粋な横丁。敷居が高そうな店もあるが、路地裏にひっそりと佇む『おく谷』は、手頃な価格で美味しい料理が楽しめる小料理店だ。

 私が25年以上勤めていた出版社は、四谷三丁目に事務所があった。ゆえに荒木町は仕事が終わって、いや仕事の途中でも夜な夜な繰り出す庭のような飲屋街だった。

 その中で『おく谷』は21年前のオープン当時からなじみになった店。荒木町は南北に走る3本の道と、その間をつなぐ路地で構成されているが、南北の道の中でもっとも細くて車が通れない柳新道通りにある。

 夜は創作和食という感じだったが、当時はランチにカレーも出していた。それでよく日に焼けたご主人を見てインド系の方なのだろうか、と思ったこともある(笑)。

 ご主人が日に焼けていてカレーが得意なのには理由がある。通夫さんは慶大商学部に入学、銀行マンになろうと勉強に励むかたわら、テニスサークルでテニスに打ち込む学生生活を送っていた。

 しかしアルバイトをしていたインド料理店で厨房も担当することになり、すっかり料理のとりこに。卒業後は芸能人が多く来ることでも有名だった南青山の『サラ』に勤め、さらにフレンチの店でも修業して技を磨いた。

 そして奥様の愛子さんとともに小料理店を出そうと店舗を探していたところ、たまたま紹介された荒木町のこの場所に惚れこんだとのこと。

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