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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】心地よい果物や花の香り、花酵母で“新時代”築けるか 従来の日本酒と一線画す「積善」 (1/2ページ)

★長野「積善」(下)

 花から分離培養する花酵母は、東京農大の中田久保(ひさやす)教授が開発した新しい酒の酵母だ。花酵母を扱う酒蔵は全国に30軒ほどあるが、すべての酒を花酵母で醸す蔵はたった1軒しかない。それが長野市の西飯田酒造店で、銘柄は「積善」である。

 7年前から杜氏をつとめる9代目蔵元の飯田一基さんは、東京農大で花酵母を研究した。花酵母というのは、花から取る清酒酵母と言った方がわかりやすい。培養液に花を入れ、酵母を分離してから試験醸造をする。同時に一般的な清酒酵母の協会酵母(日本醸造協会で頒布している酵母菌)でも仕込み、経過を見て比較検討するという研究を繰り返した。そうして自ら分離培養した花酵母は30~40種類にもなるという。

 「花酵母の仕込みには、ちょっとしたコツがあります。水を多くしたり、麹を少なめにしたり、品温を高めにしたりといったことですが、とくにオフフレーバー(二次的に生じる異臭)には気をつけています。花酵母の酒は、有機酸が多い分、変化が早いのです。これは麹や火入れの管理で制御しています」

 現在市場に出回っている花酵母は20種類くらい。そのうち「積善」には16種類の花酵母が使われている。幸運なことに、その全てを利き酒させてもらった。

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