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【安達純子 病院探訪】腹膜偽粘液腫に強い 無症状で腹腔内に増殖 新しい治療法の周知と保険適用目指す国立国際医療研究センター病院外科(大腸肛門外科) (1/2ページ)

 100万人に1人ともいわれる悪性腫瘍の一種「腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)」の最先端治療で力を発揮しているのが国立国際医療研究センター病院外科(大腸肛門外科)だ。

 腸のがんは大腸がんが代表格だが、盲腸につながるミミズのような虫垂(ちゅうすい)に生じる腫瘍もある。腫瘍が増殖し、虫垂を破ってゼリー状の組織がお腹の中(腹腔)にあふれ出すと臓器を圧迫するなど弊害を起こす。これを「腹膜偽粘液腫」という。

 肝転移などがなく悪性度が比較的低い場合は、手術でゼリー状の腫瘍を全て取り除くと同時に、お腹の中に抗がん剤を入れる治療が行われるが、まだ一般的ではない。同科ではこの治療法について、2014年に先進医療Bをスタートさせエントリーを終了し、保険収載へ向け尽力している。

 「欧米の推計では、腹膜偽粘液腫は年間100万人に1~2人と稀(まれ)な病気で、日本ではもっと少ないとする向きもあります。が、私が全国的なアンケートを行った感触では、患者さんの数は欧米並みに多いと思っています。保険収載によって治療法を普及させることは、とても重要なことだと考えています」

 こう話す矢野秀朗(ひであき)診療科長は、直腸がんに対する肛門温存の低侵襲手術や、直腸がん局所再発に対する積極的切除などを得意としている。

 2006年に英ナショナルセンターへ留学、腹膜偽粘液腫の治療を数多く手掛けた。帰国後、全国から紹介された患者が受診するようになり、大腸がん手術と並行し、毎週のように腹膜偽粘液腫の手術を手がけている。

 「長時間の手術や化学療法、術後の集中治療など、チーム医療を不可欠とする治療です。欧米では患者さんを集約して当たり前のように行われているのに、国内ではまだ普及していない。国内にも多数の患者さんがいることを考えれば、この状況は変える必要があると思っています」

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