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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】兄弟の力も集結し地域に貢献、開業75年老舗診療所の三代目 稲垣耳鼻咽喉科医院院長・稲垣康治さん

★稲垣耳鼻咽喉科医院院長・稲垣康治さん(42) 

 東京都町田市。小田急線とJR横浜線が交わる町田駅から徒歩5分の住宅地に立つ稲垣耳鼻咽喉科医院。1942年の開業以来、75年にわたって地域医療の貢献してきた老舗診療所だ。設立した祖父から数えて三代目にあたる稲垣康治院長は、先代の父の体調不良を受けて、4年前に院長を引き継いだ。

 「子供の頃からなじんでいる環境なので、医院を継ぐことには抵抗はありませんでした」と稲垣医師。現在は広く耳鼻咽喉科全般の初期診療にあたっているが、大学では「のど」の疾患の研究に取り組んでいた。日々の診療で高い専門性を求められる症例に出合うと、「つい説明にも力が入りますね」と苦笑する。

 声帯ポリープや声帯結節、副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症など、日帰り手術が可能な場合は、後方支援病院に送るのではなく、手術設備を持つ提携クリニックに患者と一緒に出向き、稲垣医師自身の執刀により手術を行う。

 「町田は、43万の人口を抱えている割に個人商店が多く、住んでいる人も個性的な人が多い。それだけに診察をしていても地域への密着感が強く伝わってくる。自然に“地域貢献”という意識が湧いてきますね」

 それまで診療体制が手薄だった地元基幹病院の耳鼻咽喉科への医師派遣を母校に請願し、実現させるなど、早くも地域貢献の成果を見せ始めている。

 実は稲垣医師は三人兄弟の次男で、兄も弟も耳鼻科医だ。大学で准教授を務める兄はめまい、都内の公立病院に勤務する弟は聴覚と、専門領域が異なる。疑問のある症例については相談できるし、状況に応じて診療を手伝ってもらうこともある。

 75年使ってきた建物を、来年から1年かけて建て直すことが決まった。

 「町田が好き」と言い切る三代目は、兄弟の力を結集して地域の「耳・鼻・のど」の健康を守る。(長田昭二)

 ■稲垣康治(いながき・こうじ) 1975年、東京都町田市生まれ。2000年、慶應義塾大学医学部を卒業し、同大医学部耳鼻咽喉科入局。同大学病院の他、済生会宇都宮病院、平塚市民病院、相模原協同病院に勤務。06年、慶大耳鼻咽喉科助教、10年、横浜市立市民病院耳鼻咽喉科診療科長を経て、13年より現職。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医・補聴器相談医、日本気管食道科学会認定気管食道科専門医(咽喉系)。特技は剣道。

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