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【日本人の死因3位!肺炎を招く「誤嚥」の恐怖】嚥下機能を維持する「口腔体操」 参加者の興味引く工夫随所に織り交ぜ楽しく取り組む

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 今回は、具体的な誤嚥性肺炎の予防法についてみていこう。

 東京都東村山市にある「白十字ホーム」は、170人の入居者と1日あたり12人のショートステイで地域の高齢者を受け入れる特別養護老人ホーム。連載で繰り返し述べてきたとおり、嚥下(えんげ=飲み下し)機能の低下は加齢とともに進行する。高齢者施設にとって誤嚥性肺炎の予防は重要課題だ。この施設では毎日、嚥下機能の維持を目的とした「口腔体操」が行われる。約15分間のメニューは別項の通り。

 参加していた10人の入居者の中には認知症の人も何人か含まれているようだが、みな楽しそうに体操に取り組んでいた。口の体操の時には「これは美容効果もあるんですよ」と、参加者(この時は全員女性)の興味を引く工夫も随所に織り交ぜた、楽しい体操だった。

 さすがに大声での発声練習や歌は職場では、はばかられるが、それ以外の運動は仕事の最中にもできるし、緊張の緩和にもつながる。高齢者になる前から日常に取り入れることで、嚥下機能の維持につながるなら、やって損はないだろう。

 お昼時だったので、食事の場面も見学させてもらった。

 「その人の嚥下機能に応じて、普通食から重度の嚥下障害のある人の食形態に応じて5段階に分類。飲み込みが難しい人にはミキサーにかけたり、“とろみ”を付けることで誤嚥を防ぐようにしています」と語るのは、施設長の西岡修氏。

 食事中は職員が監視ではなく、“何気なく”様子を見守る。

 「早食いの人は特に要注意。また口に入れてからいつまでも噛んでいる人も、そのまま飲み込むと誤嚥のリスクがあるので無理に飲み込ませず、すぐに食べやすい食形態のものに変更するようにしています。とりわけ嚥下機能が落ちている人には、スタッフが正面や隣に座って、1対1で飲み込みを確認し、食事環境や姿勢が適正かを確認しています」と語るのは、「口腔体操」の指導も担当していた職員で言語聴覚士の南部未央さん。

 こうした取り組みは、白十字ホームのような施設であれば施設側がサービスしてくれるが、在宅の場合は家族が行わなければならない。次回は在宅における誤嚥性肺炎予防の取り組みを紹介する。(中井広二)

 ■口腔体操
 (1)深呼吸
 (2)長く伸ばす発声
 (3)首の運動(上下、左右、振り向き)
 (4)肩の上げ下げ
 (5)口の体操(「アーンー」「ウーイー」を各5回)
 (6)舌の運動(「出し引き」「出したまま左右」「出したまま上下」を各5回)
 (7)頬の運動(「ふくらませる」と「すぼめる」を交互に5回)
 (8)発声練習(「パ」「タ」などの比較的力のいる音を大きな声で三三七拍子のリズムで発音)
 (9)唾液を出す練習(「4本指で上の奥歯あたりの顎を押しながら回す」「顎の下を両親指で押す」「耳の下から顎までを押す」を各10回)
 (10)歌を歌う(この日は「海」を全員で歌った)

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