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【安達純子 ロボット手術最前線】食道がん治療、長時間手術の高リスク解消へ 肺を押し潰すことなく手術、回復が早いのも利点 (1/2ページ)

 食道がんの手術は、最も身体への負担が大きい治療といわれる。約30センチの長さの食道は、背骨の前に位置し、両肺に囲まれて心臓や大動脈などに隣接しているからだ。

 手術では、右側の肋骨(ろっこつ)の間を切開し、特殊な麻酔で肺を小さく押し潰して、その隙間から食道へと到達する。食道やリンパ節を取り除いた後に、新たな食道の代わりの再建も行われると長時間に及ぶこともあり、手術の後に肺炎や肺機能の低下の合併症のリスクを伴う。がんを治すためとはいえ、術後の肺合併症は、日本に限らず世界的にも問題のひとつになっている。

 この状況を変えるべく、東京大学医学部附属病院胃・食道外科の瀬戸泰之教授が、2011年から研究を進めているのがロボット支援下手術(ダヴィンチ治療)だ。

 「腹部と首の2カ所の小さな切開で、食道だけを取り除く『食道抜去術』は昔から行われています。しかし、この方法では、人間の手が奥に入らないため、食道の周囲のリンパ節は取れません。ロボット支援下手術ならば、先端の細いアームでリンパ節を取り除くこともできるのです」

 食道の周囲には、豆粒のようなリンパ節が多数連なっている。食道がんの病態によっては、これらのリンパ節にがんが潜むことがあり、手術ではリンパ節も取り除き、がんの有無を確認しなければならない。

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