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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】「医療界の外」を熟知した異色の存在、患者側の視点で診療に着手 湘南東部総合病院内科医師・松原顕しゅんさん (1/2ページ)

★湘南東部総合病院内科医師・松原顕しゅんさん(51) 

 どの世界にも「異色の存在」はいるものだが、医療界でこれほどの変わった経歴を持つ者はまずいない。

 神奈川県茅ケ崎市にある湘南東部総合病院で総合診療科と在宅診療に当たっている松原顕しゅん医師を知る上で、まず、その経歴をざっと振り返る。

 栃木県の県立高校から慶大理工学部に進み、卒業後はコンピューター関連企業に勤務するが、家業を継ぐことになり1年で退職。「継ぐ前にやりたいことがある」と周囲に懇願。猶予をもらいイギリスに語学留学。帰国後すぐ家業の経営陣に加わった。結婚し子供もできたところで、今度はその会社が倒産する。

 無職となり、途方に暮れていた時、娘が急な発熱で救急搬送されるという出来事が起きた。

 「救急病院で先生の説明を聞いている時、こっち(患者側)にいることに違和感を覚えたんです。あっち(医療側)にいるべきだろう…って」

 アルバイトで生計を立てながら受験勉強し、1年の浪人を経て医学部に入ったのが36歳の時。莫大(ばくだい)な入学金や授業料は妻の実家関係者から借りた。

 41歳で晴れて医師となった。大学病院での研修の後、都内の民間病院で実績を積み、昨年から現在の病院の内科で総合診療(初期診療)と在宅診療を担当している。

 その穏やかなたたずまいからは人生の激動ぶりはみじんも感じられないが、話すほどに信頼感が湧いてくる。大半の医師が「医療界の外」を知らない中、会社経営や倒産など、普通の医師では考えられない経験を持っていることが、人間としての強烈な魅力を醸成させているのだろう。

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