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【飯田達哉 酔いどれ師匠の酒場探訪】女将が集めた美しい酒器でおいしさ倍増 花街の粋と味に酔う「いわ瀬」(東京・日本橋人形町) (1/2ページ)

★「いわ瀬」(東京・日本橋人形町)

 江戸時代初期には遊廓の元吉原や歌舞伎小屋が設置されて賑わい、後に花街の「芳町(よしちょう)」として栄えた日本橋人形町。その名残を残す芸者新道には、粋な黒塀の料亭が立ち並び、敷居が高そう。しかし『いわ瀬』は落ち着いた空間で手頃に和食を頂ける人気店だ。

 芸者新道は人形町通りから日本橋小学校に抜ける、わずか100メートルばかりの細い路地。かつては芸者置屋だった『よし梅』など風格漂う店が並ぶ。

 『いわ瀬』も築80年の風情ある店構え。しかし開業したのは11年前と意外に新しい。もともとは天ぷら屋だったが廃業。この場所に惚れ込んだ女将さんの小泉一絵さんが、大家さんに半年以上にわたり頼み込み、開業にこぎつけた。

 女将さんは元ジュエリーデザイナー、大将は料理上手ではあるが元大工。飲食業の経験はなかったが、大将がその腕を生かして店を改修。女将さんがデザインセンスを発揮して内外装をデザインし、古風な建物を生かした落ち着いた店にすることができた。ふすまに描かれた芸者の姿絵は、大将の伯母さんが書いたもの。店名の『いわ瀬』はその伯母さんの名字だそう。

 料理は10年前から、静岡の老舗で修行を積んできた女将さんの甥が料理長として腕をふるう。必ず頼みたいのがお造り盛り合わせ。江戸時代に考案された煎り酒(日本酒に梅干しと鰹節を入れて煮詰めたもの)に浸したヒラメや、菊の花とポン酢のジュレで和えた鰆など、工夫が凝らされている。

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