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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】「いづみ橋」こと泉橋酒造、「栽培」「精米」「醸造」極めた酒造り あえて昔ながらの製法に力 (1/2ページ)

★神奈川県「いづみ橋」(下) 

 「いづみ橋」で知られる泉橋酒造は、難しいとされる山田錦の作付けを、神奈川県で初めて成功させ、自社田および地元の契約栽培田で、原料米の95%を生産している。蔵元の橋場友一社長と9人の蔵人たちは、春から夏にかけて米作りをし、秋冬に酒づくりをする生活だという。

 900石の酒はすべて純米酒。2006年に全量純米酒に切り替えた。同時に念願の精米機を導入し、扁平精米を取り入れている。扁平精米とは、米を丸く削るのではなく、米の形に添って精米する方法。有用なデンプン成分を残し、不要な部分のみ取り除くことができるが、精米時間が長く米が砕けやすいので、難しい精米法だ。

 つくりの40%は山廃か生もと(きもと)だ。雄町や亀の尾、神力など、歴史ある米を扱う割合が高いこともあって、あえて昔ながらの製法に力を入れている。とくに生もとがこれらの米に合っているようなので、数年前から山廃を徐々にやめ、ほとんどを生もとにする計画だ。

 搾りは全量が槽(ふね)搾り。もともと槽は1台あったが、昨年ヤブタ(=機械式)をやめ、新しくもう1台槽を購入した。橋場社長いわく、槽の方がヤブタよりひと味多い感じがするそうだ。それは、槽の袋の目が粗く、醪(もろみ)が自分の重みで濾過槽になるからだと推察している。あるいは、フネの場合、澱(おり)引きまで1週間から10日かかるので、その間にひと味加わるのではないかとも考えている。