記事詳細

【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】映える雪景色、冬こそ訪れたい日本人心のふるさと「白川郷・五箇山合掌造り集落」 (1/2ページ)

 これまで世界遺産を時事ニュースに関連付けて紹介してきましたが、今回は季節にかんがみて冬に訪れるべき「白川郷・五箇山合掌造り集落」についてお話しします。

 世界遺産の登録対象は白川郷の荻町地区、五箇山の相倉(あいのくら)地区・菅沼地区の3集落で、白川郷は現在、岐阜県白川村と高山市荘川町に、また五箇山は旧平村、上平村、利賀村の3村を併せた地域でしたが、現在はいずれも南砺市に属しています。この地方は浄土真宗の信仰心が強く、その結束力から「結(ゆい)」と呼ばれる相互扶助組織が存在しますが、これは厳しい自然環境では隣人たちとの協力体制が必要であったために生まれた組織と考えられます。

 江戸時代に白河郷は高山藩領(後に天領)と浄土真宗正連寺領、五箇山は加賀藩領となりましたが、いずれも豪雪地帯で稲作に不向きな土地柄のため、塩硝(火薬の原料)、和紙漉(す)き、養蚕が盛んとなり、合掌造りは気象条件と大家族制だけでなく、これらの家内工業発展に合わせて大型化、多層化していったと考えられています。また「合掌」とは、手のひら(掌)を合せたような傾斜のある茅葺屋根が由来ですが、これは積雪時に少しでも雪が屋根から落ちるように豪雪地帯の風土に合った住居様式で、1935年に白川村を訪れたドイツの建築家ブルーノ・タウトもその独自性を評価しました。

 そしてこの日本独自の集落と原風景は、山深い奥地にある秘境のために近代化が遅れ、田んぼやあぜ道などの自然とともに残された遺産ですが、その価値は冬こそ輝きを増すように思います。毎年1月に開催される白川郷荻町集落のライトアップでは、静寂に包まれた合掌造り集落が雪化粧とライトアップでまるでおとぎの国のように幻想的に輝きます。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう