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【マンガ探偵局がゆく】惜しまれ消えゆく昭和の駅通り つげ忠男さん作品の舞台になった街は今 (1/2ページ)

★ミッション(9)「つげ作品」の舞台になった街は今?

 かつて、新聞の投書欄で「大学生がマンガを読んでいる」と大人たちをあきれさせた青年も、いまや古希を超えている。今回、マンガ探偵局に寄せられた依頼はそんな70代の男性からだ。

 「学生時代に、ちょっと背伸びをする感じで、つげ忠男さんのマンガを好んで読んでました。お兄さんのつげ義春さんが文化人から高い評価を受けていたので、よけいに入れ込んでいたのかもしれません。マンガの舞台になっていたうらぶれた街角は、通っていた大学のあった地方都市の駅裏にあった、安酒をへべれけになるまで飲んだ裏通りとどこか似ていましたっけ。先日、同窓会の帰りに何十年かぶりで懐かしい街に出かけましたが、再開発ですっかり面影が消えていました。あのマンガのモデルになった場所はやはり消えてしまったんでしょうか?」

 太平洋戦争の末期、まだ幼いつげ義春、つげ忠男と長兄は、板前だった父親の死をきっかけに、母親、義祖父などとともに、千葉の港町・大原(現いすみ市)から東京都葛飾区立石町に移り住んだ。つげ忠男が70年代に描いた作品の多くは、戦後混乱期の京成立石駅周辺が舞台になっている。

 戦後まもない立石駅は北側に赤線、青線、キャバレーなどが集まる夜の街が。南側には闇市がひしめき、その周辺に長屋が立ち並ぶ下町だった。

 中学を卒業した忠男は、製薬会社に就職し、血液を買い取る地元の「血液銀行」で働き始める。のちに売血は禁止されたが、忠夫が職場で目にした、生活のために血を売りに来る日雇い労働者やチンピラ、娼婦たちの姿は、のちの作品に色濃く反映されている。

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