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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】最高の米で新たなブランド 「龍力」のドラゴンシリーズは正真正銘、特A地区山田錦100%の大吟醸 (1/2ページ)

★兵庫県「龍力」(下)

 本田商店の龍力(たつりき)は、特A地区の山田錦を100%使用した兵庫・姫路の地酒だ。高価で入手困難な最高級の酒米を、苦労して手に入れることから始めて40年。米へのこだわりに関しては、業界の第一人者といっていいだろう。

 フラッグシップは「米のささやき」という大吟醸だが、40年前に発売したときは、まだ級別制度の時代で大吟醸など一部のマニアにしか知られていない状態。日本酒はお燗をして飲むのが普通だったので、「大吟醸とは何か」「冷やして飲んでください」などと説明書きを箱に入れて、啓蒙につとめたそうだ。

 今では笑い話のようだが、そうした努力の甲斐あって、「米のささやき」は徐々に銘酒としての評価を高めていった。あらためて飲んでみると、華やかな香りの中に、米の甘みや旨味がしっかりと広がって、現代の軽くフルーティーな大吟醸と違い、非常に古典的な味わいが感じられる。酒通なら一献の価値がある酒だ。

 「米のささやき」が本田眞一郎社長の代表作だとしたら、専務の本田龍祐さんが現代に問う話題作がある。龍祐さんは、東京農大を卒業し、蔵で酒づくりを経験したあと、今は新しい龍力ブランドのコンセプト作りに携わっている。

 彼がつくった「ドラゴンシリーズ」は、冷酒の青、辛口の黒、フルーティーな紫と、誰でも覚えやすくわかりやすい。以上が冷酒シリーズで、お燗シリーズには旨味の赤、深味の緑がある。