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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】賀茂金秀、味とネーミングで全国区へ 自由につくった地酒が全国7位になるも、名前にダメ出しされ… (1/2ページ)

★広島県「賀茂金秀」(下)

 広島で今銘酒として脚光を浴びる「賀茂金秀(かもきんしゅう)」は、金光酒造の社長杜氏・金光秀起さんが20年前につくった酒だ。

 それまで金光酒造は「桜吹雪」という普通酒をつくる平凡な蔵だった。しかし、東京農大で酒づくりを勉強した金光社長は、普通酒に飽き足らず、吟醸や純米といった特定名称酒がつくりたかった。

 そこでその時の杜氏に頼み込み、タンク1本だけ自由につくらせてもらった。その酒が、いきなり「特選街」の日本酒コンテストで、全国7位に入賞したのだ。よほど旨かったに違いない。

 これをどう売っていくか、金光社長は悩んだ。「桜吹雪」は地元の居酒屋などに卸していたのだが、そのルートには乗せたくなかった。地酒専門店の店頭に並べ、個人のお客さんに選ばれるような酒にしたい。

 広島で最も大きな地酒専門店である「酒商山田」に相談すると、酒の味は高く評価されたが、ネーミングにダメを出された。当時は屋号からとった「正月屋」という名前を使っていたのだ。そしてフルネットの中野繁社長を紹介された。

 フルネットは、日本酒関連の書籍を出版したり、イベントを主催している会社。中野社長は、日本酒愛あふれるチャーミングな性格なので、ただの飲兵衛かと思いきや、東大出身の切れ者で、いろいろな酒の名付け親となっている。じつは福島の銘酒「飛露喜(ひろき)」の命名も中野社長だ。