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【膝関節再生治療を追う!】100万~300万円と高額な「脂肪由来幹細胞移植」 軟骨再生の効果は未知数 (1/2ページ)

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 加齢とともに膝の軟骨が減少し、炎症や痛みを引き起こす「変形性膝関節症」。放置すれば歩行がおっくうになり、車いす生活や寝たきりになる危険性をはらんでいる。

 従来、手術で人工関節に置き換えるか、痛み止めの薬で痛みを抑えるしかなかったこの疾患に対して、近年導入され始めた再生医療。前回は、すでにスポーツ選手などのケガの治療にも使われているPRP療法と、その進化版ともいえるAPS療法について解説した。

 この2つの治療法は、分化(成長)した体細胞を使うのに対して、幹細胞という、より若い細胞を使うことで、軟骨組織の再生までを視野に入れた治療効果を狙うのが「脂肪由来幹細胞移植」という治療法だ。埼玉協同病院(川口市)整形外科副部長の桑沢綾乃医師が解説する。

 「患者のお腹や太ももから脂肪を20cc採取し、その中にある幹細胞を6週間培養・増殖させて関節に注射します。幹細胞自身が抗炎症サイトカイン・修復因子を分泌する上、もしかしたら軟骨に分化する可能性も…という治療法です。iPS細胞のように遺伝子操作をしているわけではないので軟骨の再生が保証されるものではありません。動物実験では繊維性軟骨の新生が見られた-という報告はありますが、関節に最も必要なのは線維性より硝子性の軟骨。ヒトの関節での軟骨再生の効果は未知数です」

 血液を使うPRPやAPS療法は、採取した当日に精製して注射ができるのに対して、培養型脂肪由来幹細胞移植は、脂肪採取から注射までに6週間の培養期間を要するのがネックだ。培養をしないで当日注射ができる方法もなくはないが、この場合は200ccの脂肪が必要となり、脂肪採取のために全身麻酔をする必要が出てくる。

 まずPRPかAPS療法を試した上で、脂肪由来幹細胞移植-という手もあるが、費用は馬鹿にならない。