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【板倉あつし 菜湯紀】山形県湯野浜温泉「亀や」と出羽三山会席料理

 湯野浜温泉は、山形の上山温泉、福島の東山温泉とともに奥羽三楽郷に数えられた古湯。「亀や」が創業した文化年間は、1807年の羽前・羽後で大地震が起こり、松尾芭蕉が奥の細道で訪れた「東の松島、西の象潟」と、並び称された秋田県の「象潟」が陸地化してしまった時代。大きな地殻変動を乗り越えて続く老舗旅館だ。

 傷ついた亀が休んでいた浜の砂が熱かったことが湯野浜温泉の起源の伝説であり「亀や」の名の由来。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物温泉で、源泉温度は57.2度。大型の施設なので加水加温循環ろ過消毒だが、かけ流し方式を併用している。

 女湯に天女の湯、羽衣の湯ヒバ浴槽と露天風呂、男湯に亀の湯の内湯、ヒバ浴槽、露天風呂が用意されている。

 工夫を凝らした17品に及ぶ夕食は、月山(過去)を懐かしい郷土の味、羽黒山(現在)を新鮮な自然の恵み、湯殿山(未来)を華やかな山海の風味とした出羽三山会席。鮭の親子みぞれ和え、鰰(はたはた)の鍋、庄内豚の大和煮が印象深い。(一社)プレスマンユニオン理事/温泉ソムリエ・板倉あつし

 ■山形湯野浜温泉「亀や」 山形県鶴岡市湯野浜1の5の50、0235・75・2301。平日2人1室1泊2食1万6000円から。詳細はWEBで。