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【BOOK】人気ミステリー作家、伊岡瞬さん “旬のネタ”盛り込んだ警察小説 どん底から這い上がる“戦う男の姿”で勝負 (1/2ページ)

★「冷たい檻」中央公論新社1900円+税

 いま「旬」のミステリー作家が書く警察小説。中国資本、政官癒着、福祉施設、カルト…。「旬」のネタを随所に盛り込みながら読者をグイグイと引き込んでゆく。(文・梓勇生 写真・早坂洋祐) 

 --警察小説全盛の時代。どこで「差別化」を図りますか

 「警察小説はすでに名だたる作家の方々が書いているでしょう。私に何が書けるか? と考えたとき、不祥事などで“どん底”に落とされ、ギリギリの崖っぷちから這い上がってくる男なら書けるかなって、ニッチ(隙間)狙いです」

 「今作の主人公の男は、元警察官。ある事件をきっかけに警察を辞めざるを得なくなり、特殊な調査会社にいる設定にしました。現役よりも、組織の枠に囚(とら)われずに自由に行動させられると思ったからです」

 --過去の作品も、そんなキャラが多い。左遷された会社員とか…

 「その点は、デビュー作から一貫しているかもしれません。『挫折』というような生やさしいものではなく、とことんまで落ちて不幸を味わわされる。酷い目にあってボロボロになるような男たちです。今回の主人公も、最初は、007のようなカッコイイ主人公にしたかったのですが、結局、“過去に囚われた男”になってしまいました」

 --いろんな「時事ネタ」がキーワードになっている

 「新聞の電子版の連載だったので、できるだけ、社会性を持たせたいと考えました。中国資本が日本の森林を買いあさっているのに日本政府は手をこまねいているとか、政官の癒着問題とか、ですね。ただ、(刑事事件など)実際に起きた事件を参考にしたことはありません。むしろ『そこからアイデアを得た』と思われるのがイヤで、一時連載を止めようかと悩んだくらい」

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