記事詳細

【ぴいぷる】小説家・真山仁、愚かしさに「アバヨ」 「ハゲタカ」シリーズ著者が初の社会派エッセーを上梓 (2/3ページ)

 ■小説家になるために

 「ハンガリーは20兆~30兆円で国家が破綻しました。向こうの政治家らから、日本は借金が1000兆円以上なのに、なぜ破綻しないのかと尋ねられました。もし日本が破綻したとき、助けられる国はありません。世界の金融はまったく機能しなくなります。海外の人はいつか日本が破綻すると思ってますが、日本人は見たくないものは見ない。見えるものしか見ません。バブル崩壊以降、顕著です。だれかが何とかしてくれると思っています。だから私は、見ないのなら、小説で見てもらおうと考えたわけです」

 小学生のころから漠然と小説家になれたらいいなと思っていた。高校時代には「ジャッカルの日」のフレデリック・フォーサイスのような、日本にはなかったポリティカル・フィクションという具体的な目標もできた。

 大学卒業後、新聞記者として働いたのも、小説家になるために取材力とわかりやすい文章を学びたかったから。ただ、見出しありきの原稿を書かなければならないことに悩み、2年半で退社。フリーライターをしていた1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生、神戸で被災する。

 「7階建ての1階に住んでいて、このまま圧死すると思ったら、怒りがこみあげてきました。忙しい中、1日2時間小説を書いて、年に2回ぐらい投稿。小説家になるため苦労して生きてきたのに、ここで殺すのかと思ったら地震が止まりました。よかったと思う一方、別のマンションでは押し潰されて亡くなっている人も多数いることも知りました。なぜ自分が生き残ったのか。最終的には、小説家になるために生きながらえた、ならないわけにはいかない、という結論に達しました」

 9年後のデビュー作品「ハゲタカ」などで、日本人が持っている価値観や常識を揺さぶることを続けている。

関連ニュース