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がん新免疫治療を開発 患者に最適なオーダーメード実現 (1/2ページ)

★ふくろうクリニック・阿部博幸医師に聞く(前編)

 昨年11月、英オックスフォード・ユニバーシティ・プレスから1冊の医学書が発行された。「OVARIAN CANCER IMMUNOTHERAPY」(卵巣がんの免疫治療)と題されたこの本は、海外でも発売され、がんの免疫治療に取り組む医師たちにとって最新の教科書として役立てられている。

 じつはこの本の分担執筆者に、1人の日本人医師が名を連ねている。

 医療法人社団博心厚生会と国際個別化医療学会理事長を務める阿部博幸医師だ。現在は東京・九段にある「ふくろうクリニック」の院長として、主として標準医療の枠から外れた「がん難民」の救済に向けた取り組みに力を入れている。

 免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の登場で、一躍脚光を浴びた免疫治療。しかし、その歴史は苦難の連続だった。

 手術、化学療法、放射線治療に続く「第4のがん治療」として期待されながら決定打が出ない時期が続く中、一つの転機となったのが2007年のこと。それまでの、ナチュラルキラー細胞という免疫細胞の活性化によるがん治療に代わって、がん細胞の存在を認識する働きにたけた「樹状細胞」という免疫細胞を使った特殊なワクチン療法を阿部医師が開発し、臨床導入したのだ。

 樹状細胞にその患者のがん細胞の情報を取り込んだうえで作ったワクチンを投与することで、免疫組織はがん細胞を特異的かつ集中的に攻撃し、副作用なく効率的に治療効果を上げる-という仕組みだ。