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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】米の旨みも味わえる上質な辛口 広島県「亀齢」 (1/2ページ)

★広島県「亀齢」(上)

 灘・伏見と並ぶ酒どころ、広島県の西条で、今最も注目されている酒が亀齢(きれい)だ。広島の酒の人気ランキングでは常に上位で、酒屋さんからも引く手あまただと聞く。

 亀齢酒造6代目蔵元、石井英太郎社長にそう言うと、「いやいや、そんなことはありませんよ」と謙遜しつつ、余裕の表情。ううむ、やはり噂は本当だったか。

 広島の酒は、一般的に濃醇甘口だ。それは、仕込み水が軟水であることに加え、瀬戸内の小魚を中心とした食文化の影響だと言われている。そんな中、亀齢は一貫して辛口の酒を醸してきた。

 「でも若い頃、初めて新潟に行った時、地酒を飲んで驚きました。辛口も辛口、まるで水みたいな酒でしたから。うちの酒は辛口といっても、やはり広島の酒。新潟の淡麗辛口とは違います」と石井社長。では実際に亀齢を飲んでみよう。

 「創(そう)」は、流行りの派手な大吟醸ではなく、香りは穏やかで甘くない。凜とした佇(たたず)まいは、大吟醸の王道を行く風格がある。純米大吟醸の「亀香(きっこう)」は、味吟醸タイプで上品。スッキリとして飲みやすい。

 石井社長がお燗向きだと言う「純米酒」は、しっかり味が乗っていて、噛みたくなるような酒だ。しかし雑味なくきれいなので、喉ごし良くキレがある。どれも辛口ではあるのだが、薄辛い酒ではなく、米の旨みも一緒に味わえる。たしかに地酒専門店がほしがるタイプの酒だし、最近の日本酒ファンの好みともピタリと合っている。

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