記事詳細

【ドクター和のニッポン臨終図巻】小出義雄さん 「俺はもう長くない」自分の死期を悟り、大切な人に感謝を伝え… (1/2ページ)

 あと、どれくらい生きられるのか? 運命は誰にもわかりません。

 私は余命宣告という言葉が大嫌いです。生きている者は皆、残りの時間はすべて余命と思います。

 在宅医療の現場では、持ってあと1、2週間かな…と思われる患者さんに、「じいちゃん、あとどれくらい生きられると思う?」と尋ねると、「もう歳やから、あと3年くらいかねえ」などと返されることも、よくあります。「そうかあ。じゃあ、俺が先に死ぬかもなあ」と返します。

 ご家族は笑いながらその会話を見守っています。いえ、泣き笑いしながら、でしょうか。

 だけど、この人は自分の余命をちゃんと悟っていたようです。

 女子マラソン金メダリスト(2000年、シドニー五輪)の高橋尚子さんをはじめ、世界に通用する女子陸上選手を数多く育てた小出義雄さんが、4月24日に千葉県内の病院で亡くなりました。80歳、死因は肺炎とのことです。

 小出さんはここ4~5年、心疾患を発症して入退院を繰り返し、心臓ペースメーカーを装着していたようです。それからは、大好きだったお酒をやめていました。しかし亡くなる1カ月前まで仕事はやめませんでした。

 心臓ペースメーカーは、不整脈がある人の心臓に電気刺激を送り一定以上の脈拍を保つための、直径4~5センチの医療機器です。植え込み後は、普段と変わらぬ生活を送れます。平均寿命も、健康な人とほぼ差はなく、1度つけたら死ぬまでずっと装着することが前提です。

関連ニュース