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【松浦達也 肉道場入門!】受け継がれた最高峰の味! すき焼きの「和田金」その実力 (1/2ページ)

★絶品必食編

 昭和の日本人にとって「牛肉のごちそう」と言えば何か。ステーキでもなければ焼肉でもない。すき焼きだろう。

 甘辛く焼きつけられた牛肉に生卵をソースに使うという、世界的にも稀有な牛肉料理だ。

 その創成期から現代にまで受け継がれた最高峰の味が、三重県は松阪にある。

 創業明治11(1878)年、すき焼き好きならその名を知らぬものはいない「和田金」である。

 自前で自社牧場を持ち、年間数百頭の牛肉を仕入れる。牛肉の町、松阪でも押しも押されもしない「金看板」だ。

 薄く灰をかぶった菊炭の上にすき焼き鍋が乗せられたら、お待ちかね、和田金の花形、仲居さんによるすき焼きショーの幕が上がる。

 直径24センチのすき焼き鍋は、たった2枚の判の大きな松阪肉で敷き詰められる。

 その上から箸に渡した上白糖を雪のように振らせ、たまり醤油をひと回し。鍋の隅に昆布だしをちょん、ちょん、と加える。

 松阪肉とたまり醤油、そして砂糖が灼(や)ける香りが立ち上り、食欲を煽るように鼻腔から胃袋へと降りてきては空腹感を焚きつける。

 ジュウジュウという音とともに、牛肉の艶やかなピンクに茶色が混じり始めたら、仲居さんの見事な箸さばきで、肉に焼き色が重ねられ、卵が溶かれた器へと運ばれる。

 手のひらほどの大きさ×6ミリという分厚い松阪肉が折りたたまれ、溶き卵をまとう。

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