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【ぴいぷる】作家・綿矢りさ 芥川賞から15年、書けないスランプ…たどり着いた「生のまま」 (3/3ページ)

 「時代とともに世の中も変わっていますが、(同性愛のカップルには)まだ困難な問題はあるでしょう。それに抗(あらが)うのではなく、必死で生きようとする2人の姿を描きたかったのです」

 これまでの作品では、学校や会社になじめず、“ひとりで生きてゆく”女性や、どこか屈折している姿など、揺れる内面を描いたものが多い。その多くのキャラクターには自身の年代に合わせて「少しずつ、私が投影されている」という。

 「一人で充実した人生を送るのか、それともパートナー(他者)が必要なのか…。いろんなタイプの人生を描くことで、自分の人生を考えていたのですね」

 近年は、本がなかなか売れない時代だ。紙媒体や活字文化の衰退も叫ばれて久しい。

 「幼いころから、紙・活字に親しんできたので、やっぱりデジタルよりも愛着があるし、こだわりもあります。でもね、最近は、電子媒体の良さも分かるようになってきたのです。長いものが読みやすいし、画面が明るいから夜でも苦にならない、とか」

 ただし、時代や媒体が変わっても、書くという仕事は変わらないと思っている。

 「今回の小説もそうですが、長いものでも、すいすいと(読者の)頭に入ってくるような、気付いたら読んでしまっているような文章を私は書きたいと思うのです」

(ペン/梓勇生 カメラ/桐山弘太)

 ■綿矢りさ(わたや・りさ) 1984年2月1日、京都市生まれ。35歳。早稲田大学教育学部卒。2001年、紫野高校在学中の17歳のとき、『インストール』が文藝賞を受賞。2004年、『蹴りたい背中』で芥川賞。19歳での受賞は史上最年少記録。同作は文庫も合わせ約150万部のベストセラーとなった。10年、『勝手にふるえてろ』で織田作之助賞大賞候補、12年、『かわいそうだね?』で大江健三郎賞。他に故郷・京都を舞台にした『手のひらの京』『ひらいて』などがある。

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