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【ベストセラー健康法】治る見込みがない病気に…どこで最期を迎えたいか? 専門家「ある時期からは治療よりケアのほうが重要」 (1/2ページ)

 まずは「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか?」という調査結果を見てほしい。これは内閣府が行った高齢者を対象にした意識調査の結果だ。一番多いのは「自宅」で54・6%と全体の半数を超えており、2位は「病院などの医療施設」で27・7%。

 では、実際に日本人はどこで最期を迎えているのだろう。厚生労働省が行った「平成29年度人口動態統計」によると、「自宅」で亡くなった人は全体の13・2%に過ぎず、「病院」と「診療所」を合わせた「医療機関」が74・8%と、じつに4分の3を占めているのだ。

 さまざまな分野が高度に発達した現代においても、「死に場所」に関しては、希望通りにいかないことを、この数字が物語っている。

 今回紹介する『それでも病院で死にますか』(セブン&アイ出版刊)は、そんな日本の現状に一石を投じる1冊だ。

 著者の尾崎容子氏は、京都市で在宅療養支援療養所「おかやま在宅クリニック」を運営する訪問診療医。病院でできる治療は終わり、あるいは通院ができなくなった患者を対象に、その後の療養生活を、自宅で、時には看取りまでを含めた医療の提供に取り組んでいる。

 本人が自宅での最期を望んでいるのに、その希望がかなえられない理由はいくつかある。死にゆく家族を最後まで看病する自信がない、介護に手間がかかって疲弊してしまう、など、家庭ごとの事情がある。

 ならば病院に入れば安心なのかと言えば、決してそんなこともない。病院は「病気を治すところ」であって、治る見込みのない患者を積極的に受け入れてはくれない。たとえ入院できたとしても、できることには限界があり、決して好ましくない環境におかれた患者は死への速度を高めてしまうことが少なくないのだ。

 日々そうした患者と家族に接している著者は、こう訴える。

 「死は敗北ではありません。ゴールです」

 自身の母を、病院ではなくサービス付き高齢者向け住宅で看取った経験も持つ著者は、家族を在宅で見送る患者の気持ちも知っている。それだけに本書では、場面ごとの具体的な対応と心の持ち方が、平易な文章で綴られている。

 中でも、病気の発症から病院での治療を経て、在宅に移って以降、患者にはどんなことが起きるのか、その時に家族の取るべき対応は、知識として身に付けておくべきだろう。

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