記事詳細

【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】遺伝性乳がん・卵巣がんの予防手術が保険適用に HBOCの女性の医療費を大幅減少へ

 将来がんになるリスクを下げるため、遺伝性の乳がんや卵巣がんの患者さんが予防的に乳房や卵管・卵巣を切除する手術に対して、今年4月から公的医療保険が使える見通しになりました。昨年12月13日の中央社会保険医療協議会で了承されたのです。

 医学的にはっきり遺伝性があることがわかっているがんがあります。そのなかでも最もよく知られているのが、BRCA1とBRCA2という遺伝子に変異がある「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」です。

 アメリカを代表するがんセンターで結成されたガイドライン策定組織(NCCN)のガイドラインでは、HBOCの女性に関する生涯発症リスクの推測値について、乳がんは41~90%、卵巣がんは8~62%と記載されています。乳がん患者の約5%、卵巣がんの約15%がHBOCであるといわれています。

 HBOCであることがわかったアメリカの女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、2015年に両方の乳房だけでなく卵巣と卵管を予防切除したことを『ニューヨーク・タイムズ』に寄稿したのは記憶に新しいと思います。

 厚労省はHBOCの女性が予防切除を望まないときに受けることができる定期的な検査や卵巣がんにかかったHBOCの女性に対する診療についても、公的医療保険の対象とすることを検討するようです。

 予防切除はがんの発症を減らすことはできますが、生存率を上げるというデータが十分でなかったので、これまでは公的医療保険の対象から除外されてきました。ところが、最近の研究によって、予防切除によって生存率が上がることがわかってきたのです。

 これまではHBOCの女性が自費診療で予防切除を受けると、数十万円もかかっていました。予防切除が公的医療保険の対象となれば、HBOCの女性の医療費を大幅に減少することができるようになります。

関連ニュース