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【ドクター和のニッポン臨終図巻】野村克也さん 毎日毎晩、妻・沙知代さんを想い続けての旅立ち (2/2ページ)

 高齢者において、入浴中の死亡は珍しいことではありません。 俳優の平幹二朗さん(享年82)の入浴死も、以前にこの連載で書きました。

 2018年の調査によれば、65歳以上の年間交通事故死が約2600人なのに対し、不慮の溺死は年間約7000人。特に冬場は、ヒートショック(血圧の変動や致死性の不整脈)が起こりやすいので、要注意です。高齢者は、自宅で溺れているのです。

 冬の入浴の際は、以下、5つのことに注意してください。

 〔1〕外の気温が高い時間帯に入浴しましょう

 〔2〕あらかじめ、脱衣所も温かくしておきましょう

 〔3〕いきなり湯船に入らずにシャワーや掛湯で徐々に体を温めて

 〔4〕飲酒後の入浴は避けましょう

 〔5〕お湯の温度は41度以下。入浴時間は10分以下を目安に

 先週放送のNHK『クローズアップ現代』の追悼で、野村さんはこんなことを仰っていました。

 「女房がいなくなって初めて分かるね。弱さが。男の弱さ。それを痛切に感じて毎日生きてます」

 「妻が亡くなったとき握っていた右手の温もり。まだ離れないよ」

 「おかえりって声がかかるのとかからないのじゃ、全然違うね…」

 天国の入り口で、克也さんは沙知代さんに、「おかえりなさい」と抱きしめられたのではないでしょうか。「生涯一捕手」は、「生涯愛妻家」でもありました。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。この連載が『平成臨終図巻』として単行本化され、好評発売中。関西国際大学客員教授。

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