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【S列車で行こう シルバーマル“得”ぶらり歩き】外出自粛中のおすすめ本 謎のウイルスによる「日本社会の分断」描いた『BABEL バベル』 (1/2ページ)

 緊急事態延長でステイホームも続くとなれば自宅での読書は大きな楽しみの1つ。最近のベストセラー情報を見ると、カミュの『ペスト』を筆頭にフィクション、ノンフィクションで感染症をテーマにしたものが多い。当欄も1冊紹介する。

 福田和代著の『BABEL バベル』(文芸春秋・税別1700円)は2014年出版だが、昨年文庫化されたから手に入りやすいと思う。日本を襲った謎のウイルス感染症・バベルによって、日本社会が分断される状況を描いた純然たるエンタメ作品なので面白く読める。新型コロナウイルスに翻弄される日本をフィクションというフィルターを通して見つめ直せるからおすすめだ。

 --201×年の日本で、突然パンデミック(感染爆発)が始まった。同居中の恋人で画学生の渉が新型ウイルス・バベルに感染してしまった小説家の卵・悠希が降りかかるさまざまな災厄に立ち向かっていく。バベルに感染すると、高熱と出血があり脳が侵される。感染者の多くは話す・書くという言語能力が奪われ、社会生活が困難になる。一心不乱に絵を描く渉をアルバイトで必死に支える悠希もバベルに感染するが、発症はしない。だが、他人に感染する危険はある。

 なぜか、日本だけに流行したバベルの猛威を封じ込めるために、設楽首相が打ち出した奇策は、長城と呼ばれる塀によって感染者と非感染者を隔離することだった。そのうえ、非感染者から優良な若者を選びタワーと呼ばれる超高層の無菌空間に収容する。ノアの箱舟かバベルの塔か…。

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