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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】田園地帯に整然と並ぶ原風景 オランダ・キンデルダイクの風車群 (1/2ページ)

 物事がきわめて快調に進んでいるさまを「順風満帆」と言いますが、昔の帆船の旅では潮の流れとともに「風」の向きが重要で、その意味では昔の船旅には風が不可欠でした。そして帆船が出帆のために順風を待つことを「風待ち」と言いますが、この風で思い出されるのは、やはり田園地帯に整然と並び、風を受けて羽根を回しているオランダの原風景とも言える「風車」です。

 今年は新型コロナウイルスが世界各地で猛威をふるっているため、開催は不明ですが、例年であれば5月の第2土曜日は、オランダで年に1度の「風車・水車の日」として、風車に親しむ日なのです。国中の風車および水車が非公開のものも含めて一般に公開され、花や旗で化粧された雄大な姿だけでなく、稼働する風車を眺めたり、中に入って「風車守」から説明を聞くことも出来ます。私もかつて「風車守」から、風車の翼(帆)は、揚力型風車では飛行機の翼、抗力型風車では帆船の帆と基本原理が同じであると学びました。

 かのナポレオンは、オランダのザーンセスカンスに並ぶ風車を見て驚嘆したと伝えられていますが、今日、最も美しい風車のある景色となれば、やはり世界遺産に登録されているキンデルダイクの風車群です。今に残る19基の風車は、大がかりな治水体系の一部として1740年頃に建設されたものです。風車は川を挟んで対面に2列に並び、壮観な眺めを作っていますが、私には風の流れや風が運んでくる匂いも感じられました。

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