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【マンガ探偵局がゆく】船乗りに憧れるきっかけのマンガ 夢に向かって出航する少年の物語「3月の風は3ノット」 (1/2ページ)

 今回も思い出のマンガ探しでがんばろう。

 「中学の頃、船乗りに憧れてました。船で世界中あちこちを旅できるんじゃないか、と甘いことを考えたのです。きっかけは、マンガでした。小学生が密航するというお話で、手塚治虫さんの『ブッダ』を読むために友達から借りていた雑誌で読んだはずです。自分も密航するつもりで、大阪港まで自転車で出かけたこともありました。いまは憧れとは程遠い経理マンです。コロナ禍のテレワークで自宅にじっと篭るようになって、無性にあの頃の憧れがよみがえり、もう一度あのマンガを読みたくなりました。探してください」 (55歳・会社員)

 データが少なく、かなり難しい依頼だが、手塚治虫の『ブッダ』が連載されていたというのがヒントになった。『ブッダ』は1973年に潮出版社の「希望の友」で連載を開始。その後、雑誌のリニューアルに伴い「少年ワールド」「コミック・トム」と掲載誌が変遷し、83年まで連載されている。

 依頼人が中学生だった時期で探すと、「少年ワールド」78年3月号掲載の坂口尚の短編『3月の風は3ノット』がヒットした。

 貨物船で密航を企てた少年の短い冒険の旅を描いた作品だ。密航がバレた少年は彼が父と呼ぶ熊田一等機関士とともに航海することを許されたが…。昔ながらの船乗りとして生きようとする無骨な男と、夢見がちな少年の出会いを描く優しく少し切ない物語。中学生だった依頼人の心を動かしたのもわかる。

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