10月に発売される世界的料理ガイド本「ミシュランガイド」の「京都・大阪版」を巡り、京都の老舗が揺れている。出版を受け入れる店と拒否する店とで反応は真っ二つ。掲載拒否店に対し、ミシュランガイド総責任者、ジャン=リュック・ナレ氏が「評価されたくなければ違う仕事をすべき」と発言したことにも反発が集まっている。
「出版を歓迎する店と拒否反応を示す店とで、態度がはっきり分かれている。3分の1ぐらいの店は勝手に格付けされたことに不快感を持っていると思います」
京都の飲食店約5000店が加盟する京都府料理飲食業組合連合会のある理事はこう話す。
「ミシュランガイド京都・大阪版」は来月16日発売予定。2007年の「東京版」出版に続き、日本国内の第2弾として企画された。
「07年秋から2年間、7人の日本人調査員が時間をかけて調査。京都・大阪両都市の食文化の魅力を伝えるガイドブックに仕上がった」とミシュランガイド広報は自信をみせるが、老舗の名店が集中する京都では勝手な格付けに不快感を示す声が噴出している。
京都市中京区の老舗料亭の「梅むら」はガイドの発売前から「ええ加減なことを書いておられるようなので、うちはお断りしました。結構です」とケンもホロロの対応。
周知のように、京都の老舗はプライドが高い。その神経をさらに逆なでしたのが、総責任者・ナレ氏の発言。ナレ氏は出版会見で「店の売り上げが伸びるのに残念。評価されたくなければ違う仕事をすべきだ」と掲載拒否店の対応を非難。「相撲取りが『自分は最強だが、戦うのが嫌だから土俵に上がりたくない』と言うのと同じだ」と揶揄したうえで、「掲載拒否店でも価値があれば入れる」と“強行突破”を宣言したのだ。
この発言に、各店は「何様のつもりだ」と猛反発。フグ料理の老舗「ともえ」の店主、亀井一洋氏(58)は「料理の世界では『100年続いたら、後100年続く』と言いますから、ミシュランさんもしっかりしたガイドブックやと思います」と前置きしつつ、ナレ氏の発言を引用する形で苦言を呈する。
「相撲のことを言うんなら、(ガイドは)プロレスと相撲をいっしょくたにやるようなもんですわ。それぞれ違うルールで戦うわけで、本来なら一緒にはできへんでしょ。基準も何も分からん所で星がいくつやと言われても納得できるもんやない。フグ料理だけでやるんやったら参加してもええけど」
ミシュラン側は「一見さんお断り店は調査対象から外す」「掲載拒否店は店内写真を掲載しない」など、店側に一定の配慮をしたことをアピールするが、前出の理事は「今時、一見さんお断りなんて掲げているお店はほとんどありません。この不況で、そんなことやってたら、とてもやないけど経営していかれへんのでね」と言う。
「ともえ」の亀井氏は「まあ、みんな自分の店に誇りを持ってますから、何言われても気にしないとは思いますけど」と語るが、1カ月、老舗からどんな声が飛び出すかは予想もつかない。
