MENU

RANKING

モバZAKのご案内

iモード、EZweb、Yahoo!ケータイで大好評配信中

ぴいぷるホーム > ぴいぷる > 詳細

川平 慈英

サッカーがいいんです! (3/25)

 かびら・じえい
俳優。1963(昭和38)年9月23日、沖縄県生まれ。41歳。8歳でサッカーを始め、読売ユース時代に全国制覇。上智大在学中にミュージカル俳優としてデビュー。Jリーグ開幕から11年間、「ニュースステーション」(テレビ朝日)でサッカーキャスターを務めた。
 24日から始まった主演のオリジナルミュージカル・コメディー「OHダディー!」(福田陽一郎作・演出、三木たかし作曲)が、東京・北千住駅前「シアター1010」で、30日まで上演中。音信不通だった父の遺言に従い、青年が世界を旅する物語。
 「笑わせたり、ほろっとさせたり、心にしみるメロディーで真正面から家族愛をうたいます。家族や自分に優しくなれるはず」
川平慈英
川平慈英

【悪夢の同点ゴール】

 「“ドーハの悲劇”の責任の一端は、自分にあると思ってるんです」

 悪夢の同点ゴール直前、W杯初出場を確信して友人らと、応援歌の「アメリカへ行こう」という歌詞を「アメリカへ行けた」と変え大合唱した。

 「今でもあの映像には目をそむけてしまう。PTSDですね」

 あれから12年−。「究極のしびれる不安感が幸せ」という最終予選の日々が再び始まった。

 「代表は僕の生活の糧。この期間はご飯がおいしいし、生きてる手応えがある感じ」

 最大の難関、敵地でのイラン戦は今夜(25日)キックオフされる。

 「僕らは何度もがけっ縁を見てます。今回もどうなるか分からないと肝に銘じつつも、無謀でいいんです! ジーコは世界一の幸運の持ち主。彼自身が神というより、彼に神がついてます」

 サッカーとの出合いはサッカー不毛の地・米国のカンザス州。8歳で母の実家にホームステイした際、南米帰りの宣教師から教わった。高校時代は名門・読売ユースのエースで、都並敏史氏らと全国制覇。高校卒業後は米国にサッカー留学するが、読売仕込みの個人技サッカーを否定され、傷心のまま帰国した。

 だが上智大に編入後、英語版ミュージカル「フェイム」に出演し、「拍手をもらった瞬間、三男坊気質で『オレはスターになれる』と思った」。

 「混血だから、ろくな役がもらえない」と大反対する母親を説得し、昭和61年プロデビュー。そこから坂東玉三郎、宮本亜門、久米宏ら多くの人との出会いがあった。

 「あまり振り返ったりしないけど、濃密な時の流れがありましたね」

【濃い家族の絆】

 「サンクスギビングデーやらクリスマスやら、お袋からじゃんじゃん電話が来て。ウチは会い過ぎってくらい、今でも本当によく集まる家族」

 実兄のジョン・カビラ(本名・慈温(じおん))さんと共演したパソコンのCMをご記憶だろうか。2人のマイペースな会話にキムタクが終始圧倒されるが、実際の川平家はさらに濃い。

 父は沖縄出身のアナウンサー第1号。戦後、沖縄初の日本語ラジオ放送で第一声を発した。その美声を受け継いだのが長兄ジョンさん。実は男3兄弟で、慈英さんは末っ子。次兄の謙慈(けんじ)さんは新日鉄や日本マクドナルドなどを経て、現在は米国の大学で運営に携わる。

 「家族全員が話の主導権争いをしながらしゃべるんで、話してる場所から『ラードが出てる』と言われます(笑)」

 ラードのように濃く、固い絆で結ばれた川平一家の始まりは米ミシガン州。父は留学先で出逢った母を沖縄に連れ帰り結婚した。

【ナゼか今夜は休演】

 「ウチナンチュー(沖縄人)の男と、軍と関係ない米国の白人女性が沖縄で結婚したのは初めて」のこと。母は米軍基地で教師を務めた。

 反米意識が高まる昭和40年代、「基地の外で米国の血が入った混血児を育てる両親は、本当に気が気じゃなかったと思う」。奇異の視線や「ヒージャーミー」(ヤギの目をした人)という蔑称。それでも、両親が説く「他人も自分も尊重し、さげすまない」という聖書の教えが心を支えた。

 沖縄の本土復帰後、父親の仕事の関係で一家は東京に移住。小学4年生の慈英少年は“ハーフ”が「カッコいい」という周囲の反応に驚いた。

 中学生のとき、ジョンさんがこっそり連れて行ってくれたディスコでダンスに目覚めた。「沖縄の血が騒いだのか、ひと晩中踊ってましたね」

 代名詞の「いいんです!」も、草サッカー後の酒席で、兄弟の会話から生まれた。「『ビールもう一杯いっていいんですか?』と聞いたら、兄貴(ジョンさん)があの声で『いいんです!』と答えたのがきっかけ。製造元は兄貴なのに、発売元の僕がだいぶいい思いをさせてもらいました」

 主演ミュージカル「OHダディー!」が上演中。「オリジナル作品の初演なんで、プレッシャーはありますね」と気を引き締めるが、やはり日本代表も気になる様子。

 「誰が気を使ってくれたのか。な・ぜ・か、イラン戦の夜は舞台が空いているんです!」

 テレビ局からイランやお茶の間に、「勝つんです!」という“念”を送ってくれるはずだ。

ペン・笹森 倫
カメラ・寺河内美奈