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堀内賢雄

見えない主役 (04/14)

 ほりうち・けんゆう 声優。1957(昭和32)年7月30日生まれ。静岡県生まれ。48歳。NHKで約8年間放送された海外ドラマ「ビバリーヒルズ高校白書/青春白書」のスティーブ役では、ひょうきんなセリフで人気を呼んだ。LaLa TV(土曜午後11時ほか)で、第6シーズンを放送中。
 25周年記念イベント「バッチグーだぜ! 堀内賢雄。今日はマジだぜ!! ダサ〜!!!」が、今月29日と30日(各2回公演)、東京・新橋のヤクルトホールで開かれる。問い合わせは、ケンユウオフィス(Kenyu−office@Kenyu−office.com)。
堀内賢雄
堀内賢雄

【体を壊し野球は挫折…恩師の助言で】

 顔は知らなくとも、一度は声を聴いたことがあるはずだ。

 ハリソン・フォード、マーティン・シーン、トム・クルーズ、ブラッド・ピット、キアヌ・リーヴス…。洋画のほとんどの正統派二枚目を演じてきた、日本語版吹き替えのベテラン声優。最近の海外ドラマでは、NHK−BSで放送された「エイリアス〜二重スパイの女」のヴォーン役などでも知られる。

 この道25年になるが、「器用と言われたことは一度もないんです。(声担当の)監督に何度も怒鳴られながら、不器用だけれど、一生懸命やっていると、認めていただいただけ」と語るほどに奥が深い。

 もともと野球少年だった。野球部の特待生として静岡の高校に入学、キャプテンで、ピッチャーとして鳴らしたが、体を壊して挫折した。「何もやる気がしなかった」

 ふと、小学生時代の恩師の言葉を思い出す。「きみの朗読は、小学生レベルじゃないよ」。しゃべりを極めようと思い立った。

 当時あこがれたのは、糸居五郎や小林克也といったラジオの売れっ子DJ。アナウンス学校で基礎を学んだ後、ブームの真っただ中、新宿のディスコでDJをしていた。テレビ局のプロデューサーの目に留まり、声優という職業を知った。

 「当時は、お芝居を軽く考えていましたね。入ってみたら、フリートークとまるで違う」

 アニメーションの吹き替えで、芋虫の役があたる。「オマエは芋虫の気持ちが分かってないだろ!」と叱られ続けた。「えーっ、芋虫に気持ちがあるのか。うわー、厳しい世界だなと思いました(笑い)」

 洋画の悪役では、「フッフッフッ…」と不敵な含み笑いが、「ハッハッハッ」と大笑いに広がる場面がうまくいかない。

 「アニメーションで、キャラクターが横を向く瞬間に、『ふっ』と声にならない息を吹く。日常ではないことですが、これで画にリアリティーがでる。うまくいかずテイク100(100回取り直し)まで行ったことがありました」

 酷使するのどには、いつしか、「声帯結節」というタコができた。では、役得はないのか。飲みに行った先で、モテモテなんてことは?

 「ブラピの声をやっている、と言っても、『エーッ?』と引かれるだけですよ。だから言わない。いちばん自分に近いキャラクターは、二枚目半役のスティーブ(「ビバリーヒルズ青春白書」)ですかね。結局、六本木や銀座に行っても、人を笑わせて、サービスばっかりしてるね、って言われるんです」

【声優の醍醐味は物語の芝居心やキャラクターの本質をつかむ事】

 声が、トークが、多くの人を引きつける。イベントを開けば、“ケンユーさん”と愛称で呼ぶファンで、あっという間にチケットが売れていく。

 そんなしゃべりのプロから、新入社員や若手営業マンへ、アドバイスをしてほしい、と水を向けてみた。

 「笑顔は当然ですが、人に会うときは、ゆっくりと話すことですね。営業の仕事って、流暢に話す人が売れるように思われていますけど、逆のような気がする。言葉少なく、肝心なところは、誠意をもって、繰り返し話す。そういう人が信用されるのだと思います」

 3年前に独立して、プロダクションを設立した。現役活動の一方で、後進の発掘、指導にあたる。「いろいろの養成所で、肌が合わずに受からなかった子が、うちにきて売れてくるとうれしいですね」。

 アニメブーム、声優ブームになって久しいが、「かわいい声や、かっこいい声だけでは長く続かない」という。

 いかに物語の芝居心、キャラクターの本質をつかむかが声優の醍醐味だ。

 「ブラピとクルーズの声をどう演じ分けるか、ではない。どういう作品で、どんなイメージの役なのかが大切なんです」

 見えないところで、もうひとりの主役が演じている。

ペン・中本裕己
カメラ・小松 洋