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真山仁

高く翔ぶ(7/24)

 まやま・じん 1962年7月4日、大阪府生まれ、46歳。87年、同志社大法学部卒、中部読売新聞(現読売新聞中部支社)入社。89年、退職。2003年、『連鎖破綻 ダブルギアリング』を共著・香住究名義で発表。04年、『ハゲタカ』で真山仁名義でデビューする。著作に『虚像(メディア)の砦』『マグマ』『バイアウト』(『ハゲタカII』として文庫化)。  最新刊の『ベイジン』(東洋経済新報社刊・上下各1680円)は、週刊東洋経済の連載を大幅に加筆修正した。25日午後6時半から三省堂書店有楽町店で、29日午後6時半からブックストア談浜松町店で著者サイン会を開く。
真山仁

【ベストセラーの呪縛が】

 「『ハゲタカ』の作者」という呼ばれ方には、いささかうんざりだろうか。投資ファンドや企業再生を描いた小説『ハゲタカ』はベストセラーになったが、代表作には作家自身を縛る面もある。

 「本の帯にはいつも『ハゲタカの…』とあります。ある意味、そんな作品があるのはすごいこと」

 さらっとした語り口には、余裕もうかがえる。

 では「ハゲタカの原作者」という言い方に抵抗は? 昨年放送されたNHKのテレビドラマは賞を総なめにしたが、小説とは設定や登場人物がかなり違った。

 「ハゲタカや真山という人間を知ってもらえるのなら、(主人公の)鷲津が女になってもかまわなかった。ただ1点だけ、日本人は会社がうまくいかなかったのを外資のせいにしてきたが、それは違う、と書いた本だから、そこだけは変えないでほしいと言いました。映像を見て、同じにおいを感じました」

【ドラマ化で周辺ガラリ】

 ドラマ化で「(環境は)全然変わりましたね。想像以上に多くの人が読んでくれて、取材もしやすくなった。以前は書店回りで『返品できないから(本に)サインしちゃいけない』と言われたこともありましたから」と苦笑する。

 ハゲタカは続編を連載中。「書いていいと言われれば死ぬまで書き続けたい」と愛着を持つ一方で「打倒ハゲタカ。目標のひとつは新刊の帯から『ハゲタカ』の文字が消えること」との思いも。そんなハゲタカに「匹敵する」と自信を見せるのが、2年ぶりの新作『ベイジン』だ。

 書名のとおり舞台は中国。2008年8月8日、北京五輪の開会式当日に合わせて世界最大の原子力発電所も始動させようという中国政府の意向を受け、日本人技術者と中国共産党幹部が反目しながらも協力するが、クライシスが待ち受ける−という物語。

 「日中の人間の感覚の違う部分と同じ部分、最後の最後まで分かり合えないが、さらに深いところでプロとして普遍の絆があるということを書きたかった」

 中国と原発という2大テーマを盛り込むには相当な覚悟が必要だったはずだ。

 「むちゃだろう、失敗するだろうと言われましたが、取材を始めたら、探している人が怖いぐらいに見つかった。運命や宿命を気にしたことはなかったんですが、背中をすごく押された感じがしました」

 共産党内の謀略や権力争いを、中国人の心理にまで踏み込んで描写しているのが読ませどころだ。実は3年前まで中国に行ったこともなかったというが、「中国特派員をしていた方が本を読んで『何年ぐらい中国にいたんですか』と聞いてくれた。それでヨッシャ!と思った」と笑う。

【「空気吸いに」と取材欠かさず】

 大学を出て新聞記者になったのも小説家になるためだった。

 「フォーサイスやフリーマントル、山崎豊子さんなど好きな作家はみんな記者出身でしたから」

 10年勤める計画だったが2年半で退社。「記者として面白い時期でしたが、やりたいことをまっすぐ目指そうと。そこまではかっこいいんですが、そこから13年かかってますから」

 関西の就職情報誌に1年勤めてフリーライターになったが、「バブルがはじけて。最初の1、2年目は年収100万円だった」。音楽や舞台のプロモーション原稿を主に書いた。「エンターテインメントを後ろから見たことで、総花的に楽しいものや単調なものは失敗する、と学びました」

 週刊誌や月刊誌などに連載を抱えるが、足を使った取材は欠かさない。

 「空気を吸いに行きたいんです。街の情報はネットで検索できるけど、暑いのか寒いのか、どんなにおいがするのか、街の人が温かいのか冷たいのかは、そこに行かないと分からない。やろうと思えば、一歩も外に出ないでも書ける。だけど私は年々現場に出る数が多くなっています」