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堀内孝雄

そしてサンキュー(11/20)

 ほりうち・たかお 1949年10月27日、大阪市生まれ。59歳。京都産業大中退。71年に「アリス」を結成。谷村新司とのツインボーカルで人気を呼び、「遠くで汽笛を聞きながら」「秋止符」などのヒットを飛ばした。並行して75年からソロ活動も始め、「君のひとみは10000ボルト」(78年)が大ヒット。81年、アリスが活動を停止。翌年から本格的にソロ活動開始。テレビ朝日系ドラマ「はぐれ刑事純情派」では18年間、主題歌を担当した。
 今年は藤本美貴との競作、シングル「置き手紙」に挑戦した。「若い歌詞なのでノスタルジックをふんだんに感じながら歌った。勉強になりました」。河島英五や小椋佳ら自分が影響を受けた人物の曲を歌ったアルバム「オールドフレンズ」もリリースするなど精力的に活動している。
堀内孝雄

【涙を流すとストレスは身体の外に】

 いきなり記者個人の話で恐縮だが、学生時代の英語の先生が強烈なベーヤンのファンで、カラオケに行くたび「酔いれんぼ」や「夢酔枕」を熱唱していた。先生は女性、しかもイギリス人。「孝雄サンの歌は心に染みて楽になれるのヨ〜」と、いま思えばジェロみたいに日本人ウケする感想を述べていたものだ。

 酒をあおり、酔って、泣いて、涙、涙…。大人の涙を描いた歌詞がサビの利いた孝雄ボイスで表現されると、たまらず涙腺が緩んでくる。

 思えばこのご時世、辛さを次々と胸に抱え込んでばかりだ。巨大な辛さに適応するため感情は次第にマヒし、その結果、鬱屈たる無感情な人間になり果てる。泣くことさえ忘れる。そんなときにふと、「泣けばいいじゃない」と、そっと肩の荷物を降ろしてくれるのが堀内孝雄である。

 「涙を流すと脳が活性化されるそうですね。たとえば、親しい人のお葬式なんか悲しくて仕方ないのですが、思いっきり泣くと、葬儀が終わったころにはどこかスッキリした気持ちになっている。普段の生活も同じことで、逆に泣きたいときに泣かないと、ストレスはいつまでたっても身体の外に流れていかない」

 不思議なものだ。「辛いとき、底抜けに元気な曲を聴いても励まされないんですよ」とはその通り。ふさぎ込んでいるのに、周りでドンチャカやられたら涙腺ではなく怒筋を刺激される。

【疲れは「恩返し」…気力で歌い続ける】

 辛さを共有してくれない人に心など開けない。あなたも経験あるでしょ。顔も見たくない上司から「泣きたいときに泣け」と言われたって、「お前のせいでストレス抱えとんのじゃ!」とまったくの逆効果。だが、ベーヤンの歌は心へ届き、涙腺を緩ませてくる。この違いは何なのか。

 「僕は誰にでも同じ目線で、等身大、自然体のまま接しようと心がけているんですよ。自分を隠さずに。還暦目前で体力も衰えてきましたが、でもそんな姿も隠さないところが特に同世代には受け入れられているのでしょうかねぇ」

 60歳に近づくほど、「体力だけではステージがこなせなくなった」という。頼みは気力。その気力の源は「感謝の気持ち」だそうだ。

 「ここまで長く歌一筋にやらせてもらったのはファンや周りの方の支えがあったからこそ。疲れたという気持ちも『これは恩返しだ』と置き換えれば辛くも何ともない。感謝の気持ちがなければ、これからも歌い続けるのは難しいでしょうね」

 3年前、左目の神経に異常をきたす病気にかかった。世界がすべて二重に見え、1人では歩けない状態が続いた。幸い4カ月で回復したが、「病気で痛みを感じたことでより優しい人間になれた、と逆に感謝しています。この気持ちを行動で表現しなければ」と、盲導犬普及の寄付やチャリティーコンサートを行うようになった。

 タモリいわく、赤塚不二夫は自らの哲学を「これでいいのだ」の一言に凝縮させた。では、堀内孝雄の感謝の気持ちを一言で表現すると−。

 「サンキュー!!」