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北村一輝

一生まるごとアク役人生(5/14)

 きたむら・かずき 1969年7月17日生まれ、39歳。大阪市出身。弓削商船高等専門学校を経て、19歳で上京。96年、映画「LUNATIC」で注目を浴びる。99年、「日本黒社会 LEY LINES」「皆月」でキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2001年にはNHK 大河ドラマ「北条時宗」に時宗の腹心・平頼綱役で出演。06年のドラマ「夜王〜YAOH〜」でのホスト役や07年の映画「龍が如く 劇場版」(三池崇史監督)の主演などで人気に。趣味は映画出演で覚えた日舞や乗馬のほか、幼少から続ける空手。
北村一輝

【殿様もチンピラも】

 大河ドラマ「天地人」では、主人公・直江兼続の主君・上杉景勝役を重厚に演じているが、やはり強烈なのは破天荒なチンピラや冷酷な臓器ブローカーなど、アクの強い役。やっぱりエキセントリックな人なのだろうか?

 「そういう役ってやっぱり目立つじゃないですか。役のイメージで『そういう人間なんだ』と見られるのは役者みょうりに尽きますけどね。本来の僕とはほど遠いですよ」

 スクリーンでの鋭い眼光と男臭いイメージはどこにもない。柔和な表情は中性的でさえある。そのギャップにいささか面食らう。

 「よく役が乗り移るとか言いますが、そういうわけではないんです。まったく引きずらないということはありませんが…。役になりきるのがいいかどうかはケース・バイ・ケースですよ」

 16日に公開される映画「鈍獣」を見た直後のインタビューなので、役柄について冷静に返答されるとなおさら拍子抜けする。映画は地方の小都市が舞台。何度殺しても死なない“鈍い”友人(浅野忠信)に翻弄されるホストを演じる。脚本家・宮藤官九郎の舞台作品を映画化したもので、「やり過ぎといわれるぐらい強烈な世界観が魅力」という。たしかに、その見た目からかなりぶっ飛んでいる。「ど派手な衣装に全身タトゥー。金髪リーゼントで、額に『肉』の刻印を入れてるって役ですからね。そんな現実離れした設定でも、見ているうちに観客が『ホントにこんなヤツいそうだ』と思うようなリアリティーを持たせたかった」。狭い世界で虚勢を張り、手段を選ばずに体面を保とうとする−器が極端に小さく人間くさいホストの役を見事に演じ切った。

 役のために歯を抜くなどのエピソードももつ「役者バカ」は、たしかな演技力で存在感を発揮。映画やドラマに欠かせない存在になったが、そもそも役者を志したのは小学生時代だという。

 「うちの兄が映画好きでね。小学校の時から、家のなかにロードショーやスクリーンやら、そういう雑誌ばっかりあったんですよ。物心ついたころには『映画に出たい』と思ってましたね」

【“海賊”目指し進学】

 彫りの深い顔立ちは沖縄出身の母親譲り。やると決めたらとことん突き詰める性分は、故郷・大阪で育んだ。

 「海賊映画が好きで、高校は商船高専に進んだ。ははは、間違えましたね。海賊になれるわけないのに。結局、役者になりたかったんだ、と思い直しまして…」

 軌道修正し、高校中退。役者になるため上京したが、下積みは長かった。

 「演劇のレッスンばっかり行っていたから、服も買えないぐらいカネがない。周りからバカにもされたけど、全然平気でしたね。失敗に恐れを抱くこともなかった」

 自信満々の理由について、「さんざんしてきた話だけど」と前置きし、ブレーク前のこんな逸話を披露してくれた。

【海外への放浪は演出】

 「役者を始めてすぐ、海外に放浪に出たんです。いまだから笑って話せますけど、それまでの暮らしを突然投げ出しての出奔だったから、帰って来たら僕のことを覚えている人は誰もいなくなっていたんです」

 自分探しの旅?

 「そんなものじゃない。僕は自分の人生をいつも他人の人生みたいに客観的に見ている。映画のようにね。監督にはならないけれど、自分の人生の演出ぐらいは自分でやりたい。放浪したのも『ここでつまずいておこう』という人生における“演出”的な意識がどこかにあったんです」

 なるほど、人生まるごと役者というわけか。この役者、やはりただ者じゃない。