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きたろう

笑われる人生もいいだろう(8/6)

 1948年8月25日生まれ、60歳。千葉県市川市出身。中央大文学部卒業後、俳優小劇場に入団。劇団「表現劇場」を経て、79年に劇団仲間だった大竹まこと、斉木しげると「シティボーイズ」を結成。日本テレビ系「お笑いスター誕生」に出演してブレーク。バラエティー番組などで活躍するかたわら、映画やドラマにも多く出演。独特のキャラクターが観客に強烈な印象を残している。主な出演作は「池袋ウエストゲートパーク」「どろろ」など。シティボーイズは今年5月、新国立劇場で30年目の公演を行った。モンゴルの遊牧民が住む簡易テント「ゲル」を趣味で所有していたことがある。
きたろう

【人をほめない、他人の評価もアテにしない】

 8月8日公開の映画「南極料理人」に出演した。零下54度で繰り広げられる南極観測隊の人間模様をコメディータッチで描いた作品。撮影時の苦労話を聞こうと水を向けると、「さほどでもなかったですよ」とニヤリ。のっけからアマノジャクぶり全開だ。

 「寒いったってねえ。実は北海道の網走で撮ったんで、たかだか零下10度程度ですからね。南極とは比べものにもなりませんよ。こっちに帰ってきて沢木耕太郎さんがヒマラヤについて書いた本を読んだんですけど、あれは大変だろうと思った。どうせなら、撮影前に読んでたらよかったですねぇ」

 人はほめない主義だそうだ。その理由がまた、この人らしい。

 「僕はね、初対面でイイ顔して近寄ってくるような人は警戒するようにしている。ほめるっていうのは、楽なんですよ。ほめると人は怒らないですから。逆にけなすのは、相当な覚悟とパワーがいる。自分の言動に責任を取らないといけないですからね。無責任にほめてるだけの人は、対峙する人に正しい評価をしようと思っていない。僕はそういう人間関係はつくりたくないですから」

 「アンケートも一切見ないようにしてます。他人の評価はアテにならないですから。自分のことは自分が一番よくわかってますからね。傲慢? でも、傲慢になるということは、どこかで責任をとらなきゃいけないことなんですよ」

【毒気と愛嬌が同居】

 おっと、こんな風に書き続けると、相当にひねくれた気むずかしい人と誤解されるかもしれない。でも、ただの性格悪いオッサンではない。こんな礼儀も持ち合わせているのだ。

 「けなすと言っても相手をただ傷つけたり、屈服させるだけではダメ。そんな奴は人間失格です。ちゃんと相手が納得して笑いに昇華できるようでなきゃ。そうでなきゃ意味ないですよ」

 毒気と愛嬌が絶妙なバランスで同居する。妖怪漫画「ゲゲゲの鬼太郎」から拝借したという芸名の通り、どこか浮世離れしたキャラクターで存在感を発揮してきた。

【舞台中に頭ぶつけ客席から笑いが…】

 「小学校6年の時の作文に『役者になりたい』と書いた。物心ついた時には、もう芝居にはまっていたね。学芸会で主役を演じた時の快感が忘れられなかったんですよ」

 メンバーとして活躍するコントユニット「シティボーイズ」は業界人にもファンが多いことで知られる。芝居でもコミカルな役柄を演じることが多いが、出発点は意外にもマジメだ。

 「最初は真面目な芝居をやろうとしていたんです。でも、ある舞台に出演した時に派手に頭をぶつけたら、客席から笑いが起こったんです。本人はマジメに演じてるのに客ってなんて残酷なんだろうと思いましたよ。でも同時に、自分は笑われる人間だと気づいた」

 飄々と世の中をわたり歩いているように見える裏には、そんな葛藤の歴史もあったのだ。「地べたをはいつくばる姿をさらすのはプロじゃない」とのこだわりから、なかなか本音を言わない人ではあるが、それでも「一生コメディアンでいたい」と似つかわしくない熱い思いをかいま見せてくれたりもする。

【泣くシーンなのに】

 「人を感動させるのは、たしかに難しい。でも、笑わせることよりは難しくない。コメディーの資質がない人は、お客さんに『笑ってほしい』と思い続け、その気持ちを抑えることができない。そういう誘惑に打ち勝たなきゃ、ホントの笑いは生まれないんだ」

 「つくづく自分はコメディアンだなと思ったのは、泣くシーンを撮ったとき。そういう時、ふつう悲しいことを思い浮かべるでしょう。でも、いくらそういうシチュエーションを頭に描いても泣けないんです。でも、不思議なもので根底に笑いがあると思うと泣ける。『ここで泣いたら絶対おかしい』と思ったらスッと泣けるんです」