永井豪
時空超え魔人GO(8/25)

【「創造と破壊」】
破廉恥を「ハレンチ」とカタカナで書いてみせたのは名作「ハレンチ学園」を世に出したこの人が元祖だ。「学園モノのの漫画を」と編集担当者から依頼され、「タイトルはまともじゃない、変わったものを付けたいと思った」と言う。このあたりからして、もはや凡人とは感覚が違う。
「学園とかけ離れた面白いタイトルはないかな〜、と、新聞をめくっているうちに、オークラのエロ映画に『破廉恥−』というタイトルがあって、『この響きは面白い!』と」
漢字だと破裂の「破」や「恥」で、「見るからにおぞましい」と感じた。でも「音はキレイ」とも。そこでカタカナ表記を思いついたわけだ。以後、世間では主として“下”にかかわる事件を「ハレンチ事件」と呼ぶようになり、小紙でもよく使わせていただいている。そうか、実は永井豪と夕刊フジは切っても切れない縁だったのか。
永井作品のタイトルは「ハレンチ学園」だけでなく、「デビルマン」や「キューティーハニー」など、古さを感じさせない。固まりかけた自分のイメージを破壊し、さらに創造する「創造と破壊」を繰り返してきたからではないか。
「イメージが固定されるのが嫌いでね。違うものをたくさんやりたいという思いが強かった。ギャグ漫画家のイメージでみられているとき、極端に『デビルマン』までいっちゃうとか。誰も見たことがない作品を描きたい、という思いは常にありました。漫画はせっかく日常とは違う空間にいけるのだから、日常で体験できないことを漫画でさせてあげたい、という思いが強かったですね」
男ばかり5人兄弟の4番目。「親は放っておくしかなかったのか、手塚(治虫)先生とかの漫画をずーっと読んでいても、何も言われませんでしたね」。
漫画家になるには最高の英才教育だったといえる。
【最高の英才教育】
「幼稚園に入る前から、想像したものが生々しく見えていた。押し入れから竜が出てきたりとか…」と想像力も豊か。動物やお化け、鬼や妖怪を頭に思い浮かべ、それらを目の前で自在に動かす不思議な力を持っていた。この力は漫画家になってからフルに発揮された。たとえば大型ロボットは、「止まっている車が立ち上がる姿を想像して描いた」という。
作品では激しい「創造と破壊」を繰り返してきた。しかし、活動するジャンルはあくまで漫画やアニメという領域の中だけのように見える。「漫画家・永井豪」としての信念なのだろうか。
【作る過程に魅力】
「いやいや、そんなことはないです。徐々にいろいろやりたいと思っていますよ。映画監督とかやりたいなー、とか。自分の手で生み出す漫画は、どんなにハメを外しても自分の範囲内で収まる。でも俳優は、自分の考えと違うことを演じたりしますから、作る過程が面白そうですよね」
漫画の“幅”もさらに広がっている。歴史作品にも取り組むなど、永井ワールドはいまも拡大中だ。
【ローマが面白い】
「世界史の通史をやりたいですね。ギリシャ、ローマとか、そのあたりもガンガンやりたいな。ローマなんか本当に面白いですからね。権謀術数がいろいろと入り乱れて。中国史も面白いですしね」。夢は時空を超えて羽ばたく。
師匠の石ノ森章太郎さんm「漫画 日本の歴史」を描いた。師弟で日本史、世界史を本格的に漫画化するのは大きな夢だ。「ハレンチ学園」で教育界から目の敵にされた人物が、教育史に残る功績を残そうとたくらんでいるのも「創造と破壊」、そして「発想力」の永井豪らしい。
■DVD「真マジンガー 衝撃!Z編 第1巻」(バンダイビジュアル、2100円)が25日発売。ブルーレイボックス発売とDVDレンタルも同日から。「最近のアニメはリアル、シリアス志向になり過ぎ。思い切りよく遊べる感じではないなか、『世界征服だ!』『いや、それは阻止する!』と単純明快なストーリーで楽しめる。いまの時代はストレスも大きいが、酒ではなく、こういう作品でうさを晴らすのもよいのでは」
