ぴいぷる

【竹下景子】仕事、結婚、子供 “脱”良妻賢母

「母の贈物」で向田邦子作品に初挑戦

2009.09.08


竹下景子【拡大】

 名作「北の国から」のファンの間では「雪子叔母さん」のイメージが鮮烈に残っているが、最近はすっかり、お母さん役が定着している。ただし、ありきたりな「良妻賢母」ではない。

 向田邦子作品に初挑戦した「母の贈物」(TBS系、14日午後9時放送)は、1975年の下町を舞台に新郎新婦と互いの母が結婚式の前日に繰り広げる騒動を描いた人間ドラマ。新郎(中丸雄一)を女手一つで育て上げながら、ひそかに恋人の男(石坂浩二)がいる未亡人を演じる。

 「息子のことを思う母でいて、恋をする女。そういう立体的な人物を、向田さんは違和感なく描いている。心情をセリフで表現するのは、とてもやり甲斐がありました」

 演出は、これまでもたびたび組んできた大ベテランの鴨下信一氏。

 「いまは、お稽古なしでいきなり本番ってドラマもあるけど、鴨下さんは台本読み、お稽古を丁寧にされる。何度もお稽古すると、役が体に入っていって、相手のことも見えてくる。お稽古の大切さを改めて感じました」

 向田作品で欠かせないのが食卓のシーン。新郎新婦の母子4人がちゃぶ台を囲み、すき焼きを食べる場面の稽古も入念に行った。

 「火は使えないので、お肉は生だけど、ネギとお豆腐も鍋に入れて。本番では鴨下さんが『割り下は使わない』とこだわったので、お肉がこげちゃうんじゃないかとハラハラしました。でも、中丸君がちゃんと鍋奉行を務めてくれました」

【自分の殻を壊したかった】

 “愛息”を自慢しながら、34年前と現在の「大人」の違いをこう語る。

 「あのころって、25歳ぐらいでも、うーんと大人だったんですね。早く自立して、親とも大人同士で向き合おうとする。でも、いまは『子供』の時代が長い。就職にしても、結婚にしても、年齢が上がっていますよね」

 そう言うご本人は当時、名門女子大に通う「インテリ女優」の走りとして注目されていた。「お嫁さんにしたい女性No.1」も、バラエティー番組で故郷の名古屋弁を話す女優も、この人が“元祖”だった。タモリが司会の「今夜は最高!」の記念すべき第1回には、「エビフライと私」をテーマに、同郷の写真家、浅井慎平氏と出演した。

 「浅井さんは中学校の先輩。仲が良くて、番組に誘ってくれたんです。『お嫁さんにしたい女性』って呼ばれていた自分の殻を壊したかったから、バラエティーのお仕事は楽しかった」

 「三択の女王」と呼ばれた「クイズダービー」には16年間も出演。その間、私生活では2人の息子をもうけた。「上の子は、司会の大橋巨泉さんのことを『お母さんの友達なんだ』って言ってましたね」と笑う。

【夫の方が100倍料理が上手】

 その長男から見たお母さんの素顔は…。

 「幼稚園のころ、お母さんの似顔絵を描く授業があって。その絵に添えた文章に『僕のお母さんはお刺し身を切るだけ』って書かれちゃった」

 「小さいころから体育と図画は1、2、1、2…でした」というが、夫の写真家、関口照生氏は絵が得意で、キャンプなどアウトドアも大好き。

 「夫のほうが私の100倍料理が上手」と苦笑しながらも、「夫のおかげで私もスキーが滑れるようになったし、家族全員でスキューバダイビングの免許も取りました」と感謝している。

 夫婦、親子で富士登山に出かけるなど仲良し家族だが、長男は英国に留学し、次男も一人暮らしを始めた。ドラマのように、お嫁さんをもらう日も遠くないかもしれないが、心の準備は?

 「そうなっても、やっぱり、自立した大人同士で接したいですね」

 穏やかな母の笑顔がそこにあった。

 ペン・宇野貴文

 カメラ・宮川浩和

プロフィール 竹下景子(たけした・けいこ)1953年9月15日生まれ、55歳。名古屋市出身。東京女子大文理学部卒。73年、NHKドラマ「波の塔」でデビュー。映画「男はつらいよ」の32、38、41作でマドンナ役を務めるなど出演作多数。舞台「逝った男の残したものは」(10月31日−11月8日)に出演。11月29日スタートのNHK総合「坂の上の雲」(全5回)には、秋山好古、眞之兄弟の母・貞役で出演。女優業のかたわら、「世界の子どもにワクチンを日本委員会」ワクチン大使、富良野自然塾の環境教育プログラムインストラクターとしても活躍。

竹下景子
 

注目情報(PR)