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【西川貴教】いつも同じところだけ磨いていたらダメ

2010.04.06


西川貴教【拡大】

 「T・M・Revolution」としてデビューしてから来年で15年になる。3年前から始めたバンド「abingdon boys school」の活動も順調で昨年はヨーロッパツアーが大成功をおさめた。

 ミュージシャンとして活躍するかたわら、今月23日から上演されるブロードウェーミュージカル「ザ・ミュージックマン」(東京芸術劇場他)に主演する。

 3年ぶりのミュージカルで演じるのは自らを「音楽の教授」と名乗る楽器のセールスマン、ハロルド・ヒル。アメリカの田舎町を渡り歩いて「この町に必要なのはバンドだ!」と楽器やバンドの制服を売りつけては姿を消すという、いわば詐欺師なのだが愛すべき男の役だ。

 「音楽とミュージカルは近いように思われますけど、僕の感覚からするとまったく逆。言い方はきれいじゃないけど、アーティストははらわたをえぐってステージ上にぶちまけるような仕事。でも、ミュージカルの舞台ではそこに僕じゃなくてハロルドという男がいなきゃならない」

 ミュージシャンとしてソロとバンド活動という2つの顔を持ち、さらに役者として舞台に立つ。器用でなければできないことだが、すべてが自分にとっては必要なことなのだという。

 それにしても今年9月で40歳になる男性とは思えないほど、透き通るような肌。思わず、「お手入れはどうやって?」と聞くと、「美容関係の女性スタッフには、何時までには寝ないとダメなんて言われるけど、そんなに寝られるわけもなく、食事も不規則。いわゆる健康のための努力もせず、よくわからない状態でここにいるのは、ある意味心苦しいです…」と苦笑する。

 1日の睡眠時間は3−4時間で移動の10分、20分も貴重だという。

 「ある意味、常に自分に負荷をかけているのかもしれない。僕はミュージシャンですからアルバムを作ってツアーをまわれば1年はあっという間。でも、新しいものに対して前向きな気持ちを持ち続けるにはいつも同じところだけ磨いていたらダメだと思うんです」

 時間を惜しんで目いっぱい働くことが自分をサビさせない秘訣ということか。

 パワフルな歌唱力には定評があるが、特別なレッスンを積んだわけではない。いわば、天才肌。中学のときにバンド活動に目覚め、20歳のころプロデビュー。それでも長らくは「音楽は遊びの延長」で、人から「うまい」と言われてもピンとこなかった。「いま、ここにいるのは最初見えなかったものをまわりが『やったほうがいいよ』と押し上げてもらった結果」だと話す。

 見た目とは裏腹に、公務員の家系に育った。父方は全員、滋賀県職員。母方は祖父が警察官で、母は市民病院に勤めていた。

 「(家族は)最初は、反対も何もあきれていました。そんなもの(音楽)でメシが食えるようになるとはこれっぽちも思っていなかったと思います。でも一昨年から、父の県庁時代の縁もあり滋賀県の観光大使を勤めています。いまでも県庁には父の部下や一緒に働いていた人がいるのですごくやりやすい」と笑う。

 アーティストも有名になれば、公に奉仕する部分が出てくるのかもしれない。

 「こういう風に歌ったらお客さんが感動してくれた、喜んでくれたということをコンサートで学んでいった。自分が気持ちいいというより、聞いてくれている方がこういう声が欲しいと思っているなとか、望んでいるものを提供することで、いまの自分を形成している。自分的にはもっと破天荒にやりたいんですけどね」

ペン/菊地麻見 カメラ/寺河内美奈

プロフィール 西川貴教(にしかわ・たかのり) 1970年9月19日生まれ、39歳。滋賀県出身。96年、自身のソロプロジェクト「T.M.Revolution」でデビュー。「HIGH PRESSURE」などヒット曲多数。2008年、映画「コラソンdeメロン」で初主演。09年から「滋賀ふるさと観光大使」を務め、大型野外フェス「イナズマロックフェス」を開催。ミュージカル出演は07年の「ハウ・トゥー・サクシード〜努力しないで出世する方法〜」以来。

西川貴教
 

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