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【池内博之】電車 目力 直感 日本初の舞台化「イリアス」出演「自分のルール」貫き射止めた大役

2010.08.23

 変化の激しい時代、「自分のルール」を持っている人は強い。

 どれだけ「オレ流」でいられるか、ということだが、特にその傾向が強いのが役者の世界。毎年のように新しい才能が華々しくデビューするが、結局最後に残るのは、見る者に強烈なインパクトを与える「オレ流」の男たちだ。この人もそんな「自分のルール」を持っている。

 「デビューから変わらないのは、仕事場にはいつも電車で行くようにしていること。電車だと、運転にわずらわされることもないし、人間観察もできるでしょう。本を読んだり、セリフを覚えたり。この仕事をするうえでは、けっこう有意義な時間なんですよ」

 ファッション誌のモデル出身。目鼻立ちのクッキリした小顔に、178センチの精悍な体格は下腹ポッコリの記者にはなんともうらやましい。同行のカメラマンも「目ぢからが強くてスタイルがいいからピントが合いやすい。カメラマンにとってこんなにいい被写体はない」と絶賛。これほどイイ男が、ひとりで電車に乗っていたら目立ってしようがないと思うが…。

 「いや、意外と目立たないもんですよ。もちろん、今日も電車。駅からここまでは徒歩でしたけど、セリフをぶつぶつ言いながら歩いてきました。傍目から見るとアブナイ奴と思われているかもしれないですね」

 インタビュー場所は、9月4日から始まる舞台「イリアス」の稽古場。古代ギリシャ時代のギリシャ軍とトロイア軍の「トロイア戦争」を題材にした英雄叙事詩だ。演じるのは、主人公の敵役。来月に迫った開幕に向けて役作りの真っ最中だ。

 「舞台化されるのは初めての作品。壮大なスケール感を舞台で表現するのは難しいですね。ギリシャ神話や古代ローマを舞台にした映画や本をヒントにしながら、手探りで演じています」

 これまでにいくつかの舞台を踏み、シェークスピア作品にも挑戦した。しかし、これだけ著名な古典の初物は初めて。プレッシャーも大きいのではないか。

 「演じることへのプレッシャーは感じていません。こういうパッションのある役柄は好きなので。ただ、周りの役者さんがスケールの大きい芝居ができる方ばかりなので、自分も負けないように演じなきゃ、という思いはある。とにかくいいものを作りたいですね」

 建築士を目指して勉強中だった学生時代、21歳の時にこの道に入った。

 「俳優として物作りをするのが気持ちよくて」というのが進路変更の動機。それ以来、二枚目からゲイや軍人など癖のある役柄まで、ありとあらゆる人格を演じ分けてきた。そんな“変化”の中で、いつまでも自然体でいられる秘訣は何だろうか。

 「昨年、都内から神奈川県の外れに引っ越したんです。オフはだいたい自宅近くの海で釣りをしたりサーフィンをしたり。田舎で、やることもないから、早寝早起きのかなり健康的な生活を送っていますよ」

 スローライフを始めたきっかけは、休暇で行ったオーストラリアへの1カ月旅行。「日本でもこういう生活がしたい」と帰国後すぐに引っ越しの準備を始めたとか。

 どうやら「直感」を信じるタイプのようだ。デビュー当時のトレードマークだった丸刈りも直感で決めたらしい。

 「事務所には相談しようとも思いませんでした。『あっ、やっちゃえ』ってね。当時、丸刈りはファッションでも一般的じゃなかった。しかも、こんな顔でしょ。新宿駅を歩いていたら警察官の人に不審な目で見られたりもしましたよ」

 次はどんな「オレ流」を見せてくれるのか。

 ペ   ン/安里洋輔

 カ メ ラ/古厩正樹

プロフィール 池内博之(いけうち・ひろゆき)1976年11月24日生まれ、33歳。茨城県出身。男性ファッション誌のモデルから97年に俳優デビュー。98年、ドラマ「GTO」の高校生役で注目を集め、99年の映画「カリスマ」など、多くの映画、ドラマに出演。2006年には「13の月」で監督デビュー。04年から舞台にも活躍の場を広げ、08年に「リア王」、今年3月には「ヘンリー六世」とシェークスピア作品に立て続けに出演した。 9月4日からル テアトル銀座で始まる舞台「イリアス」に出演。12月には映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の公開が控えている。

 

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