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【安蘭けい】宝塚男役スターから飛躍の舞台へ、新作では等身大の女性役

2010.10.18

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安蘭けい【拡大】

 取材場所のけいこ場は、建設が着々と進む東京スカイツリーと目と鼻の先だった。

 「ここは特等席。眺めがいいんです」と笑い、まぶしそうにタワーを見上げる。その彼女も1年半前まで、宝塚歌劇団の“頂点”にいた。

 「宝塚の男役で、しかもトップスター。男性の方にしてみれば、近づきにくかったんだろうなあって自分でも思います。いつも、服は上下とも革製で、白馬に乗っているイメージなんか持たれて…。全然違うのにね。スカートだってはくし、退団して東京に引っ越してからはママチャリに乗ってますよ」

 急に親しみがわいてくるが、抜群のスタイルはやはりさすがだ。つい見とれてしまう。

 「いえいえ、この年齢になると、お肉が今までなかったところに付いてきちゃう。だから最近は加圧トレーニングにはまってます。おかげで、少年みたいだった体に、女性らしい丸みが出てきました」

 宝塚には小学校のころから親しんでいたが、自身の運命を変えたのは中学3年のとき、大阪の梅田で観た劇団四季のミュージカル「キャッツ」。音楽、歌、踊りすべてに感動し、「エンターテインメントの世界で生きていこう」と決めた。

 退団後の2作目となる主演舞台「ブロードウェイ・ミュージカル『ワンダフルタウン』」では、これまでの中性的なイメージから一転、等身大の女性の役に初挑戦する。

 名作「ウエスト・サイド・ストーリー」を生んだ巨匠、レナード・バーンスタインの華やかなショウ・ナンバーを散りばめた作品だ。

 「楽しい曲ばかり。ジャズテイストなんですけど、クラシックっぽいところもある。軽いようで重みもあって、いろんな要素が絡み合ってます」

 演じるヒロイン・ルースは、作家になるのを夢見てオハイオからニューヨークに出て、編集者・ベイカー(別所哲也)と出会う。宝塚では見せなかったコメディエンヌぶりが新鮮だ。

 ルースはキャリア志向が強く、恋愛が苦手。劇中では、モテない自分をネタに、デートでしてはいけないことを並べた「男に嫌われる為の100の方法」というユニークな曲も歌う。

 「女性がデート中に車のエンジンを簡単に修理できたり、野球に詳しかったりすると、男性のプライドを傷つけちゃうという内容。そういうことで『あっちゃ〜』ってなる経験って、普段の生活でもあり得る話ですよね。私が男性と話すときは、弟と話している感じになっちゃう。ちっとも色っぽくならないんですよ」

 宝塚を退団後も3オクターブの歌声は変わらない。今年4月に日本武道館で行われたコンサートでは、一緒の舞台には立たなかったが、英国のオーディション番組で普通のおばさんから一躍スターになった歌姫、スーザン・ボイルと“競演”した。

 「スーザンさんはプロになって間もなくて、5曲連続で歌うのは大変だったみたいだけど、まさに天使の歌声。本当に澄んでいて、体からあふれ出るような感じで、とにかく癒やされた。もっと聴いてみたいですね」

 しばらくは舞台やコンサートのスケジュールがびっしり。他の宝塚OGのように、映画やドラマに進出することはないのだろうか。

 「機会があれば私もやってみたい。でも、歌とミュージカルはずっと続けていきたいです 結婚? もう、今すぐにでもしたいですよ! 相手は、やっぱり尊敬できる人がいいな」

 男性の理想も高そうだ。いくつもの新たな“頂点”に向かっての登山は続く。(ペン/宇野貴文 カメラ/三尾郁恵)

プロフィール 安蘭けい(あらん・けい)1970年10月9日生まれ、40歳。滋賀県出身。91年に宝塚歌劇団入団。「ベルサイユのばら」で初舞台。「雨に唄えば」「王家に捧ぐ歌」などで歌唱力や演技力の高さを示して人気に。2006年、星組トップスター就任。「スカーレット・ピンパーネル」のバーシー役が当たり役に。昨年4月、宝塚退団。 「ワンダフルタウン」は東京・青山劇場(23日−11月4日)、名古屋・中日劇場(11月11−14日)、大阪・梅田芸術劇場メインホール(11月18−24日)で上演。 11月15日の「没後30年 越路吹雪トリビュートコンサート」(中野サンプラザホール)にも出演。来年も、主演ミュージカル「エディット・ピアフ」が東京・天王洲銀河劇場(1月20日−2月13日)、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(2月18日−20日)で上演。

 

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