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【上川隆也】語るより魅せる 頂点目指し非現実的世界を行く

2010.10.20

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上川隆也【拡大】

 トーク番組「グータンヌーボ」で、唐沢寿明、藤原竜也と3人で酒を酌み交わしながら談笑する姿に、この人の素顔を垣間見た気がした。

 冗談好きの唐沢が店員に「中森明菜をロックで」と無理な注文をすると、すかさず店員に「いいんですよ、断っても」と気遣う。「俺たちの仕事って、自分がいくら頑張っても、お客さんが『つまんねえ』って言ったら、もうそれで終わっちゃう世界」と熱く語る唐沢に、「うん、うん」と相づちを打つ。イメージ通りの好青年だった。

 「唐沢さんは大体、ああいう感じで、僕が話すいとまもない。あの人はボケるのが好きだから、自然と僕が相手をする役回りになるんです」

 そういうご自身も演技を熱く語るイメージがあるが…。

 「僕、そういうの苦手なんですよ。語るよりも、実際にお芝居しているほうが好きですね」

 さわやかに笑うと、白い歯がのぞく。唐沢も番組中で「自意識が出ている」と冷やかしたほど、きれいな歯だ。「1日に何度も歯を磨いている」といううわさもある。実際はどうなのか。

 「それは、ドラマの『陰の季節』で共演した麻木久仁子さんがテレビ番組で誇張して話したのが一人歩きしているだけ。たしかに電動ブラシを愛用してますけど、2分で止まるし、長く磨いていたら飽きるし、現場に遅刻しちゃう。普通の人並みですよ」

 撮影現場では、「事前に役を自分で作り込むよりも、フレキシブルでいたい」と語る。高村薫原作の主演ドラマ「マークスの山」(WOWOW、日曜午後10時)の役は警視庁捜査1課の刑事・合田雄一郎。撮影には4カ月かけた。

 「監督やプロデューサーとじっくりディスカッションして、合田というキャラクターとがっぷり四つに取っ組み合った。共演者、スタッフの方々が反射鏡のようになって、合田のいろいろな面をあぶり出してくれました」

 長野の山奥で白骨死体が発見されたことから物語が始まり、捜査する刑事たちは背後にある巨大な闇に迫っていく。スーツにスニーカーで駆け回る熱血刑事の合田は「事件のことを忘れないように」帰宅すると、風呂場でスニーカーを黙々と洗うのを日課にしている。

 「合田は何かに飢えている、欠落感のある人物。捜査という仕事を取り上げてしまうと何も残らないような。僕は合田と違って、仕事のことは家に持ち帰らないタイプですけどね」

 劇中では、別れた妻(鈴木杏樹)に「(事件の)緊張の中に身を置くことが、たまらなく快感なのよ、あなたは」と指摘されるシーンがある。俳優という仕事の快感とは…。

 「誤解を恐れずに言うと、お芝居というのはすべてうそなんですよ。どんなにリアルに作ったものでもね。現実の世界から、お芝居という非現実の世界に出かけていくのが楽しいんです」

 中国残留孤児の主人公を演じたNHKドラマ「大地の子」で大ブレークして15年。「あのころよりも今のほうが間違いなく、お芝居を楽しんでいる。やればやるほど楽しい」と声を弾ませる。

 「役者を続けたいと思わせてくれたのは、『大地の子』で出会った仲代達矢さんと、中国の俳優の朱旭さん。とてつもない高みにいらっしゃる方々ですが、あのお二人が見たであろう景色を見るのが僕の夢です」

 登り続ける“山”から、どんな眺望が開けるか。

ペン・宇野貴文カメラ・渡守麻衣

プロフィール 上川隆也(かみかわ・たかや)1965年5月7日生まれ、45歳。東京都出身。中央大在学中に演劇集団「キャラメルボックス」に入団。95年、NHK70周年記念日中共同制作ドラマ「大地の子」の主役に抜擢される。2006年には、NHK大河ドラマ「功名が辻」に山内一豊役で主演。今年の大河「龍馬伝」にも、中岡慎太郎役で出演。主演映画「ゲキ×シネ 蛮幽鬼」(作・中島かずき、演出・いのうえひでのり)が公開中。 昨年、キャラメルボックスを退団したが、劇団の25周年記念公演「サンタクロースが歌ってくれた」の大阪・シアターBRAVA!(30日〜11月7日)、北九州芸術劇場(11月12〜14日)、東京・サンシャイン劇場(11月30日〜12月25日)の各公演に出演する。

 

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