ぴいぷる

【藤原竜也】進化する男前

2010.11.15


藤原竜也【拡大】

 年を重ねるたびに男らしくなる。スタジオの隅で台本を読む真剣な顔つきを見て、ますますそう思った。

 蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸」の主役に抜擢され、中性的な美少年として脚光を浴びて13年。「白馬の王子様」のようなイメージがあったが、素顔はまったく違う。仕事場には自分で車を運転して現れる。

 「車の中では、大好きな長渕剛さんの曲をかけてテンションを上げたり、台本のせりふをブツブツ口にしたりしますよ」

 2年前の映画「カメレオン」(阪本順治監督)では、パーマヘアにひげというワイルドな外見に。男性ホルモンが増えたのかと思いきや、「ひげを生やすのに3カ月かかりました」。そでをめくってツルツルの腕を見せ、「ほら、体毛が薄くて。兄貴もそう。家系じゃないかな」と笑う。

 それでも、衣装の半纏(はんてん)と腹巻きがよく似合う。9年ぶりの主演連続ドラマ「おじいちゃんは25歳」(TBS系、15日〜18日、22〜25日午後11時50分)の舞台は、下町風情が残る東京・押上。東京五輪の1964年に冬山で遭難し、46年後に凍った状態で生存が確認される大工を演じる。身も心も25歳のまま帰宅し、52歳になった息子(高橋克実)と孫(大東俊介、倉科カナ)、弟分(石橋蓮司)らは大騒ぎ…という奇想天外だが、心温まる物語だ。

 「セリフひとつひとつに温かみがあって、演じていて優しくなります。1日に何十ものシーンを撮るドラマの現場は、スピードが速くて大変。克実さん、蓮司さんにしっかり芝居で受けてもらって本当に助かります。役柄でお二人を見下ろせるのは気持ちいい(笑)」

 先輩にはかわいがられそうだが、酒の勢いで少し“暴走”することも。

 「あるとき、一緒に飲んでいた事務所の人が船越英一郎さんと携帯で話し始めたんです。で、電話を代わってもらって『“英ちゃん”って呼んでもいいですか?』って言っちゃったんですよ。船越さんは『いいよ』っておっしゃったけど、船越さんの横で会話を聞いていた宇梶剛士さんが『オレの尊敬する方を“英ちゃん”とは何だ!』って怒って…。船越さんにはきちんと謝りました(笑)」

 東京の下町と聞いて思い出すのは、柴又が舞台の映画「男はつらいよ」。毎回失恋し、笑って泣かせる寅さんは「大好きなキャラクター」と、いとおしそうに語る。

 二枚目ながら正反対の役もできる。その実力は、今年4月に亡くなった井上ひさしさん作の舞台「默阿彌オペラ」でも証明した。醜男キャラで、しかも劇中で28歳も年をとる小悪党の役だ。

 「江戸弁の“オラオラ系”。井上先生が『ぜひ藤原さんに』とおっしゃってくれた。演じて本当によかったです」

 ドラマ収録中、恩師の蜷川が文化勲章を受章すると聞き、すぐに電話して祝福した。

 「『おめでとうございます』だけじゃなくて、『もっと頑張ってください』とも言いました。蜷川さんも『おれたちは先に行かないと』っておっしゃってましたね」

 自身も前進を止めない。蜷川には「どんな役を演じるか、自分でジャッジする力をつけろ」と言われている。「出会いたい才能もたくさんいますし、みんなで作品を作る作業がとにかく楽しい」と目を輝かせる。

 その一方で、「飲む酒の量は減ったし、昔みたいに寝なくても平気ってわけにもいかなくなった。きょうも寝坊で遅刻しそうになって、あわてて家を出てきました」とも。最近は、チャームポイントの八重歯を抜きたいらしい。

 「いい歯医者さんが見つかったら、34歳ぐらいで抜こうかな。イメージが変わるとか、僕はまったく気にしないんです」

 どんな男前に進化するか−。

ペン・宇野貴文 カメラ・古厩正樹

 ■ふじわら・たつや 1982年5月15日生まれ、28歳。埼玉県秩父市出身。97年、蜷川幸雄演出の舞台「身毒丸」主役オーディションでグランプリを獲得し、デビュー。2000年の映画「バトル・ロワイアル」(深作欣二監督)の主演に抜擢される。映画では「デスノート」(金子修介監督)「カイジ 人生逆転ゲーム」(佐藤東弥監督)「パレード」(行定勲監督)などに主演し、最新主演作「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」(中田秀夫監督)が公開中。

 三谷幸喜作・演出で、中村勘太郎、吹石一恵と共演する舞台「ろくでなし啄木」が来年1月7〜23日に東京芸術劇場中ホール、1月27日〜2月13日に大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!、2月17〜26日に東京・天王洲銀河劇場で上演される。

 

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