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【Sputniko!】スプ子の奥深く明るい「チンコの歌」…現代アートにパンチ!

2011.01.05


Sputniko!【拡大】

 西欧の宗教観やセックス観を挑発するロンドン在住の日本人アーティストが、日本の現代美術の“本丸”東京都現代美術館を席巻している。

 まず度肝を抜かれるのは、《装着者が月経という生理現象を体験するマシン》。自身をモデルにした「ジェンダーアート」だそうだが、いわゆる“ジェンダーフリー”的な主張はみじんも感じられず、全体的に明るくユーモラスな雰囲気だ。

 「なんていうか、フェミニズムのイメージって暗いじゃないですか。でもスプ子はもっと明るいノリで、生意気なボーイズにパンチ! って感じで表現しています。男尊女卑的なカルチャーへの反感はあるし、ちょっとした風刺の意味合いも込めてますけど、従来の暗いイメージより、あくまで明るくクレバーに、ですね。私自身、男のコ大好きだし! アハハ」

 日本人の父とイギリス人の母はともに数学者。東京・調布のアメリカンスクール時代は、数学のインターナショナルスクール対抗戦で連戦連勝。高校2年時にインペリアルカレッジロンドンへ飛び級入学した天才だ。

 それでいて、写真でもお分かりのようにモデル並みの美貌。有名ファッション誌にスカウトされたこともあるとか。

【リアルかファンタジーか…あいまい境界線にこだわり】

 数学の天才少女が、なぜに芸術の世界に踏み込んだのかは後述するとして、彼女の扱うテーマは(カタカナ語ばかりで恐縮ですが)テクノロジーとジェンダーをアートで融合させた「サイバーフェミニズム」だという。そして、そのための手法がハイパーリアル−すなわち超現実。ゆえに、自身の“生写真”の撮影はNGを貫いており、今回のインタビュー写真も小欄としては異例の作品掲載のみとなった。

 「作品もキャラクターも、すべて実写なんですけど、リアルなんだかファンタジーなんだか分からないあいまいな境界線にこだわりたいんです。ネットを活動の拠点にしていることもあり、私の存在も『少しリアルじゃない』形にしたいと思っています。だから今回の出展でも、取材記者から『スプツニ子!って本当に実在したんだ』なんて驚きの声が複数寄せられました」

【ドラえもん+ラディカルデザインの「ドラティカル・デザイン」で勝負!】

 昨年は、アーティストとして東京芸大や京都造形大の教壇にも立った。その一方で、人間の心拍数に合わせて勃ったり萎えたりする男性器型マシン「チンボーグ」や、男性器の俗称を連呼する「チンコの歌」をYouTubeに発表。物議をかもした。

 「ひとつの理論を突き詰める理系だけをやるより、アートを勉強するほうが知識が広がり、都合が良かった」というのが芸術の世界に進んだ理由。とはいえ、あまりにも突き抜けすぎてませんか?

 「う〜ん、男の人って『女の人が好きだー』っていう感情をそのまま満喫していますよね。夕刊フジさんはその代表でしょ!? それって健康的でとっても良いことですよね。女の人だって、本当はみんな『Mens&boys大好きっ!』なのに、心の制限を解除できない。だから、女の人が元気になる作品として発表したんですよ」

 「チンコの歌」はYouTubeで公開後、瞬く間に3万アクセスを突破。世界中の女の子から感謝のメッセージやコメントが寄せられたというから、やはり奥が深い。

 これらの作品のモチーフとなったのは、2009年に着想を得た「ドラティカル・デザイン」。「ドラえもんとラディカルデザイン(=1970年代にイタリアで発生した社会批評デザイン運動)を合わせてドラティカル」だという。

 「ドラえもんでは毎回、未来の『道具』と人間が織りなすドタバタ劇が繰り広げられます。その話の中に、現代の社会通念とかテクノロジーとか、あるいは友情とか時間や空間の概念まで入っていて考えさせられます。ただ、ドラえもんは最後に必ずオチが用意されていますが、私はあえてオチをなくしました。『結末はどうなるんだ?』という疑問を深めてもらうアート−それがドラティカルデザインです」

 ならば、難解なカタカナ語に埋め尽くされてしまったこのインタビュー記事も、あえてオチを外しましょう。気になる人は論より証拠、実際の作品をナマの目で見て感じてください。

 ペン・小川健

プロフィール Sputniko!(スプツニ子!) 本名・尾崎ヒロミ。現代アーティスト。1985年7月1日生まれ、25歳。東京都出身。17歳でインペリアル・カレッジ・ロンドンに飛び級入学。2006年、同大数学科と情報工学科卒。10年、ロンドン・ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。07年からロンドンを拠点にサイボーグ、ジェンダー、ポップカルチャーなどのテーマで音楽、デバイス、映像の作品を発表。09年、映像作品集のDVD「パラコンペ3000」をリリース。作品はホームページ(http://sputniko.com)で無料公開中。今月末まで、東京都現代美術館の「東京アートミーティング トランスフォーメーション」に出展。今夏、ニューヨーク近代美術館(MOMA)にも出展予定。「スプツニ子!」はアメリカンスクール時代のあだ名「スプートニク」に由来する。 

 

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