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【松平健】“暴れん坊将軍”家では子供とチャンバラごっこ

2011.08.03


松平健【拡大】

 目は心の窓、心の鏡といわれる。力のある目付きが印象的だ。ギョロ目というわけでも、あるいは“杉様”のような流し目というわけでもない。それでも、強さと色気が同居しているのはしっかり分かる。この目のおかげで役者としての第一歩を踏み出せた。

 「目が気に入った。目は化粧できねぇからな」

 言葉の主は勝新太郎。師と仰いだ人物である。弟子入りのとき、スターの素質を瞬時に見抜かれた。魅力の持ち主も立派だが、将来性を直感したほうの眼力もさすがなものである。

 「でも、一度怒られたことがありましたね。あいさつにいくと、『お前、目が死んでいるぞ』って。30代のころでした。1回目の結婚をした後かな。仕事も、家庭もちょうどうまくいって安堵していたのでしょう。ヤル気とか興味を持っていないと目がどんどん死んでいく。逆に『やるぞ!』と思えば目は光ってくる。あのときは安堵感が目を死なせていたのかもしれません」

 目は口ほどにものを言う、ともいわれる。本人すら意識しなかった気の緩みを、師ははっきりと見て取ったのだろう。

 今回、仮面ライダー作品に暴れん坊将軍が出てくるという、ある意味、奇想天外な映画に挑戦した。話が持ち込まれたときは「びっくりしました。『えっ? どこに出るんだ?』と。江戸時代にタイムスリップしてくるということで、それなら納得できると思いましたが」と振り返る。劇中にはライダーのバイクと上様の馬が並走するシーンがあり、柴崎貴行監督は「これが撮りたかった!」と大喜びだったそうだ。

 人は意表を突かれると驚き、喜ぶ。お客を驚かせ、喜ばせるサービス精神は極めて旺盛だ。代表例はヒット曲『マツケンサンバII』だろう。見る者は上様のイメージとのギャップに魅了される。それにしても、だ。仮面ライダー作品への吉宗登場は、かなりのサービス精神がなければ受けられまい。

 「僕は映画ではなく、テレビの時代に出たものですから、ファンにより近い存在だと思っています。より親近感ある役者としてとらえられ、いかに喜んで帰っていただくか。いつもそこしか考えていませんね」

 こう話すときには目の力がいっそう増す。話にウソがない証拠か。

 そんななか、ひとつ気がかりなことがある。テレビから時代劇が消えゆくことだ。あの水戸黄門ですら、とうとう伝統に終止符を打つことが決まった。もう一方の“雄”である「暴れん坊将軍」は胸中は複雑だろう。50歳目前までテレビ時代劇の歴史を築き、重ねた放送は831回。残念ながら終了後に生まれた4歳の長男は上様としての父を知らない。と、思いきや−。

 「再放送やDVDがありますからね。家でよく見ています。だから家ではチャンバラごっこばかりやっていますよ。子供たちが時代劇に触れる機会は減っていますから、今回のライダーの映画で時代劇に親しみ、またチャンバラごっこをするきっかけになってくれたらうれしいです。いい遊びですよ。悪いヤツらをこらしめるという気持ちも育つ」

 「そうそう、(長男は)仮面ライダーの映画に出るといったらすごく喜んでいました。(仮面ライダーの)Tシャツもよく着ていますし、おもちゃも持っています。悪いやつを退治するという点では、暴れん坊も仮面ライダーも共通点があります。しかし、わが子に喜ばれるというのもまた別の意味でいいものです」

 その目の中では、役者の意気込みと父親としての愛情が一体となった光が輝いていた。(ペン・久保木善浩 カメラ・野村成次)

 ■まつだいら・けん 1953年11月28日、愛知県豊橋市生まれ、57歳。本名、鈴木末七。血液型はB型でウオーキングが趣味。78年、「暴れん坊将軍」の主役に抜擢されてブレーク。2004年春のスペシャルまで放送回数831回の長寿番組となった。04年に大ヒットした「マツケンサンバII」では将軍吉宗とは180度違うイメージを確立、お茶の間を驚かせた。

 吉宗役で出演する映画『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』が6日から全国東映系で公開。主題歌『手をつなごう〜マツケン×仮面ライダーサンバ〜』のCDが3日にリリースされる。

 

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