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【遠藤憲一】明日のために…いくつになっても努力!

2012.02.22


遠藤憲一【拡大】

 「普通の刑事ドラマとは違いますね。組織の内部や警察官の実態などもリアルに描いています。いままでも警察官を演じたことはありますが、実は今回、初めて捜査シーンでカバンを持ったんです」

 たしかに、現実には手ぶらで捜査する警察官はいないだろう。そんなリアルな刑事ドラマ「ストロベリーナイト」(フジテレビ系、毎週火曜午後9時)で、ヒロイン(竹内結子)と反目する警視庁捜査一課の警部補を演じている。緻密な捜査をする生真面目な性格という役どころで、自身との共通点もあるという。

 「俺もどちらかというと努力家のほうなんです。セリフ覚えが悪いんで、すごく下準備をする。そんなところは、よく似ていますね」

 意外、といっては失礼だが、台本をもらうと何度も何度も読み返し、頭にたたき込んで現場に行かないと不安らしい。

 「俺は練習しないとできない、という臆病な気持ちがあるから、やるしかないんです」

 21歳でデビュー。50歳になった現在は、ドラマに映画に引っ張りだこだ。その画面やスクリーンから感じるのは、ベテランの味。だが、ご当人はいまだに毎回、下積みの気持ちで演じているという。

 「若いころのクセが、いまも抜けてないんでしょうね。当時は仕事に恵まれなくてしんどかったのですが、『将来のため』と思ってやっていました。いまも『今年は来年のため』『50代は60代のため』と思ってやっています。そうすると、壁にぶつかったときでも、何か意味があると思えるんです」

 どんな60代を目指しているのか? と聞くと、「役者として残っていたい」とシンプルな答えが返ってきた。 

 「この年代になると、どんどん(テレビや映画に出演できる)役者の数は絞られてきますからね。役者でずっと活躍している人を見ると、表現に対する取り組みが真摯で、いい加減な人は1人もいない。だから俺も、甘く見ないで努力し続けるしかないんです」

 ご覧の通りの強面(こわもて)。なので当然ながら、悪役を演じることが多かった。だが最近は、ホームドラマの父親役など演じる幅も広がった。

 「こんな顔ですからね。NHK朝の連続テレビ小説に出たときは、『俺だけ浮いているんじゃないか?』と思って、しばらくは怖くて、自分が映っている画面を見ることができませんでした」

 5年前に独立し、マネジャーである奥さんと二人三脚。今回の取材にも2人だけでやってきて、“婦唱夫随”ぶりを見せてくれた。

 「女房が言うことを信頼しているので、意見は聞くようにしています」

 これもまた意外、といったら、さすがに怒られるだろうか。ただ、いまでこそ温和な彼も、若いころは人の意見を聞けるタイプではなかったという。大きく変わったのは、ドラマ「湯けむりスナイパー」(テレビ東京系)に主演したのがきっかけだ。 

 「大根(仁)監督に、演技を全否定されたんですよ。『その間(ま)は違う』『その表情は違う』と、何度もやり直しをさせられました。そのうち、『この人に全部、任せちゃったほうがいいな』と思って、言われた通りにやってみた。すると、“新しい自分”が出てきたんです。それからは、若い監督であっても、監督がどうしたいのかを受け入れて演じるようになりました」

 口で言うのはたやすいが、ベテランにとっては、どれだけ大変なことか…。

 「自分の引き出しがたくさんあるわけではないのでね。新しい自分になるためには、人の意見を受け入れるしかないんです。でも、新しいものが生まれたときが、一番うれしいですね」

 そこまで「新しい自分」にこだわるのには理由がある。

 「ただ演じて、お金をもらうのではなく、やるからにはときめいていたいんです」

 破顔一笑。強面の顔が崩れて、なんとも優しい表情になった。(ペン・加藤弓子 カメラ・寺河内美奈)

 ■えんどう・けんいち 1961年6月28日生まれ、50歳。東京都出身。83年、「壬生の恋歌」でドラマデビュー。以後、ドラマ、映画に多数出演のほか、CMや映画予告などのナレーションも務める。2002年に映画「Distance(ディスタンス)」で高崎映画祭・最優秀助演男優賞、映画「実録・安藤昇侠道伝 烈火」で日本DVシネマ大賞・最優秀助演男優賞を受賞。

 

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