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【宮川彬良】父から子へ!引き継がれる“宇宙戦艦ヤマト”

2012.03.27


宮川彬良さん【拡大】

 「亡き父からレッスンを受けているような気がしたんです。財産って、単にお金だけじゃないな、と思ったなぁ。父が残してくれた音楽から、学ぶものがたくさんありましたね」

 日本のアニメ史のなかでも、その劇中音楽の完成度において最高峰と言われるのが1974年に放送された「宇宙戦艦ヤマト」。その音楽のすべてを担当したのは、ザ・ピーナッツの育ての親であり、和製ポップスの第一人者だった作曲家の宮川泰氏。

 そして今回、テレビシリーズ第1作のリメーク版「宇宙戦艦ヤマト2199」(4月7日から映画公開)の音楽を長男が受け継いだ。親子2代の大仕事だ。

 「第1作のヤマトのために、父はわずか1カ月で73もの音楽を作曲したんです。でも、そのときの苦労話を聞くこともなく、父は逝ってしまった(2006年3月21日没、享年75)。今回、楽譜化のために改めてヤマトを聴き直すと、実にいろんなことがわかった。当時、父が何を考えて曲を作っていたのかが、会話をするようにわかったんです」

 3歳からピアノを習っていたが、父から音楽を指導されたことはなかったという。

 「ピアノも、僕自身がやりたいと言って始めたそうです。父からレッスンとか、音楽を強制されたことは一度もないですね。ただ、僕は芸大を2回滑ってまして、そのときに『お前もこのままだと俺と同じで“芸大”と聞くだけでビクッとする人生を送るぞ』と言われました。奮起して合格したときは僕より喜んでたなぁ。でも、1年で辞めたときは『ふ〜ん、そうか』程度で実にアッサリしてた(笑)」

 クラシック一辺倒ではなく、中学生のころからバンド活動もやっていた。

 「ビートルズのコピーをやりたいけど、ドラムがいないから仕方なくオリジナルで勝負してました。ヤマトの放映が中学2年のときなんです。やっぱり影響受けちゃって『宇宙船に乗っていこう!』という曲を作った。曲の途中でセリフが入るんです。『敵機来襲! 方位35度!』。で、波動砲とは言えないから『レーザー発射ァ!』(笑)。オルガンの高音をピーッと鳴らして、ギターアンプ蹴飛ばしてリバーブかけて『ドゴ〜ン!』って」

 音楽センスは、やはり父親譲りなのだろう。

 「父とは30年、比べられてきました。最初はそれが嫌だった。だから、父とは同じ列に並びたくなかったんです。音楽は大好きだからやりたいけど、歌謡曲の列には並ばなかった。映画やアニメの音楽もあまりやってこなかったんですよ。で、父の列じゃない舞台、ミュージカル、ショー音楽の専門家になった。だから、自分は歌謡曲のヒットとは無縁だと長く思ってました」

 04年に大ヒットした「マツケンサンバII」も94年に舞台音楽として作曲した作品だった。

 「ヒットした後に、同じノリの曲を、という注文がたくさんきたけど、全部断った(笑)。そうそう上手くいくもんじゃないし。無欲で書いたからこそ、って部分もあります。ただ、『どんな曲を書いてるんですか?』と聞かれて、曲名が通じるのはうれしい。これはヒットが出た後だから言えることなんだろうけど。たくさん種はまいてきているので、そのうちポンポンと咲くかもしれませんね」

 2代目「宮川節」の花がどんな形で咲くのか、楽しみだ。(ペン・永瀬白虎 カメラ・宮川浩和)

 ■みやがわ・あきら 1961年2月18日生まれ。51歳。東京都出身。東京芸術大学音楽学部作曲科中退。大学在学中から劇団四季、東京ディズニーランドなどの舞台、ミュージカル音楽を手掛ける。代表作は「マツケンサンバII」「身毒丸」「ザ・ヒットパレード」など。

 全音楽を担当した「宇宙戦艦ヤマト2199」は4月7日から新宿ピカデリーほか全国10館で公開。DVDとブルーレイが5月25日にバンダイビジュアルから発売されることも決定している。

 

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