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【川村泰祐】テクマクマヤコン、高校生にな〜れ!

2012.08.30


川村泰祐【拡大】

 「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、○○にな〜れ!」

 日本人なら、誰もが知っている呪文。その「ひみつのアッコちゃん」が誕生50周年記念として初めて実写映画化された。漫画やアニメでおなじみのキャラクターを実写に置き換えるのは苦労したのでは?

 「アッコちゃんはどういう子で、どんなことをしていたかということを、日本人の誰もが覚えています。だから、現代の設定でも彼女のキャラクターは変えないように作りました」

 実は監督、人気漫画の実写映画化には定評がある。過去には「のだめカンタービレ」や「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を手がけているのだ。そんな監督が漫画の実写化で一番大切にしているのが、「キャラクターを壊さないこと」だという。

 「漫画が人気になったり、連載が長続きするのは、キャラクターが魅力的だからだと思うんです。原作者が漫画でやりたかったことは、主人公のキャラクターにすべて詰まっているはずなんですよね」

 今回の映画では、10歳のアッコちゃん(吉田里琴=りこ)が魔法のコンパクトで大人(綾瀬はるか)に変身し、化粧品会社で大活躍をする。撮影では、10歳と大人のアッコちゃんが、見た目はもちろんのこと、中身もマッチングしていることを心がけた。

 「大人が子供を演じようと思うと、“作った”感じになってしまいます。そこで、撮影の最初の1週間は里琴ちゃんに現場に来てもらい、綾瀬さんの出演シーンを一度、里琴ちゃんに演じてもらったんです。子供って、動きに無駄が多くて軽やかなんですよね。どうでもいいところでジャンプしたり。そういう子供ならではの動きを綾瀬さんに見てもらって、消化しながら演じてもらいました」

 試写会は、大人にも十分に楽しめる作品だと好評だった。

 「大人が子供に教わることはたくさんあるんですよ。たとえば子供のころは、『人が発言しているときは途中で切らないで、最後まで聞いてから自分の意見を言いましょう』と言われていました。でも大人になると忘れて、『自分が、自分が』になっていたり…。大人がこの映画を見た時に、もう一度大切なことを思い出していただけると、うれしいですね」

 多摩美術大学の関連校である多摩芸術学園(1992年閉校)映画学科1年の夏休みに、撮影現場のアルバイトを始めた。

 「知り合った先輩から、『このまま助監督をやりなよ。学校には戻らなくていいよ』と言われ、そのままずっとフリーでやってきました」

 2002年にテレビドラマ「ロング・ラブレター〜漂流教室〜」で演出家デビュー。同年の「ランチの女王」でセカンドディレクターになり、映画監督デビューは10年の「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」。下積みの助監督時代は大変だった。だからこそ、監督になった今は、仕事の大きさに関わらず1カット1カットをきちんと撮ることを大切にしている。

 「監督によっては流して撮る人もいて、『本当にこれでいいのか?』と思っていました。見る人、参加する人に対してすごく失礼なことですしね。助監督は、『いい加減なことをするなら、俺が撮るよ』と思っている人たちばかりなので、今はそれを背中で感じながら、しっかり演出することを心がけています」

 最後に、魔法のコンパクトがあったら何に変身したいか、と聞くと、「高校生になりたい」と笑顔を見せた。

 「自主映画を作りたいですね。自由に。高校生のときは、今となれば小さいことでも、ものすごく大きな問題として悩んでいました。その感情をリアルタイムに感じながら映画を撮ると、どんな作品になるのだろうということに興味があるんです」

 子供のころの感性と助監督時代の思いを忘れない。それが、川村作品の魅力につながっているのだ。(ペン・加藤弓子 カメラ・高橋朋彦)

 ■かわむら・たいすけ 1968年9月27日生まれ、43歳。千葉県出身。2005年の「大奥〜華の乱〜」や「闇金ウシジマくん」(10年)など多くのテレビドラマの演出を手がけ、映画「赤い糸」「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」の監督補を経て、10年に映画監督デビュー。昨年は「こちら葛飾区亀有公園前派出所THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ」のメガホンをとった。「ひみつのアッコちゃん」は9月1日公開。演出した「ハイスクール歌劇団☆男組」(仮題)が10月6日にTBS系で放送予定。

 

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